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岸田首相の長男にボーナスは支払われる
やっぱり身内に甘い処分?
岸田首相が今回、三国志にいう「泣いて馬謖を斬る」思いで更迭に踏み切ったであろうことは、辞職日付を6月1日にしたことからも伺われる。6月1日と言えば、首相秘書官(特別職国家公務員)の期末手当(夏のボーナス)支給基準日である。人事院事務総長通達によれば、基準日「当日」に離職した場合でも支給対象となるが、基準日前1カ月以内に離職した場合でも(例えば5月29日に辞職した場合)、期末手当自体は支給されると規定されている(特別職職員給与法7条の3、一般職職員給与法19条の4第1項後段)。
しかし、その場合は支給額が8割に減額されてしまう(一般職職員給与法19条の4第2項2号。なお、勤務成績に応じて支給される勤勉手当は95%に減額)。満額支給を受けるためには、5月中ではなく、少なくとも6月1日を待って離職する必要があるのだ。
一部の報道は「6月1日に辞職するためボーナスに当たる期末・勤勉手当は支払われない」という「官邸関係者の話」を報じているが、基準日に在職(と同時に離職)している以上、満額支給されるのが原則であり、例外として考えられるのは基準日(以降、支給日までの間)に懲戒免職処分を受ける場合などであろうか(なお「その者に対し期末手当を支給することが、公務に対する国民の信頼を確保し、期末手当に関する制度の適正かつ円滑な実施を維持する上で重大な支障を生ずると認めるとき」に想定されるのは支給の「一時差止め」であり、不支給そのものではない)。
翔太郎秘書官は今回、期末手当・勤勉手当だけでなく、退職金も受け取らない意向であると報じられている。しかし、更迭表明直後の即時辞職ではなく、「6月1日付け辞職」が選択されたことは、政治的な文脈で意味を持つ。この4日間の猶予が「やっぱり身内に甘い処分」という印象を有権者に与えたとしたら、それを払拭することは容易なことではない。
「泣いて馬謖を斬る」という故事だが、馬謖を斬った諸葛孔明が涙を流したのは、馬謖を不憫に思ったのではなく、馬謖を重用してはならないという劉備の遺言を無視した「己の不明」を悔いたからだという解釈もある。斬ることになるのだったら初めから登用しなければ良かった――。岸田首相の心中は、いかばかりであろうか。
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