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16歳未満はアカウント持てず...オーストラリアで「SNS禁止令」、いじめや性犯罪から子供を守れるか?
憲法上の「政治的コミュニケーションの自由」を侵害
一方で憲法上の「政治的コミュニケーションの自由」を侵害するという批判もある。オーストラリアでは15歳の高校生2人がデジタル権利団体の支援を受けて差し止め訴訟を起こし「ニュースや政治家にアクセスし、意見を発信する場を奪われる」と主張している。
年齢推定AIが大人を子どもと誤判定したり、その逆が起きたりする事例も報告されており、プライバシー侵害と技術の精度を巡る不信感が広がる。企業側は実務負担と巨額罰金のリスクに懸念を示しつつも、規制への対応を迫られている。
今回の16歳ルールは民主主義国としては最も踏み込んだ「年齢ラインの明文化」と言える。英国のオンライン安全法がプラットフォームに強力な年齢確認と「有害コンテンツ」遮断義務を課しているものの、16歳未満のプラットフォーム利用を一律には禁止してはいない。
オフラインの居場所づくりや親子の対話強化がカギ
米ユタ州は保護者同意や深夜使用制限を課す法律を成立させたが、違憲訴訟で一部差し止めや修正を余儀なくされ「厳格規制 vs 憲法上の権利」の対立が先鋭化した。規制でVPNや年齢詐称、規制対象外のアプリへの流入が起こり「見えない地下利用」を高める恐れがある。
年齢推定AIの誤認や大量の本人確認データ収集はプライバシー・監視社会化のリスクも孕む。短期的にはスクリーン時間は減るかもしれないが、真の効果はオフラインの居場所づくりやメディア教育、親子の対話強化と組み合わせられるかにかかっている。
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