コラム

中国「スーパー大使館」構想が、英中の外交問題に...建築図面「黒塗り」部分の開示をめぐり応酬

2025年08月07日(木)20時31分

国家安全保障、外交関係、英国内の政治対立を巻き込む

英中黄金時代から対中強硬路線に急旋回した保守党は「大使館がスパイ拠点として利用されることは明らかだ。悪意ある利用に関する重要な情報は中国当局によって隠蔽されている。英国の国家安全保障が脅かされており、労働党の閣僚は現実から目を背けている」と警戒する。

米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のアオシェン・プスツァゼリ氏は「大使館と別棟を結ぶ地下トンネルや地下室が設計され、光ファイバーケーブルの盗聴や地下アクセスによる情報収集活動が懸念される。近くにBTの通信施設や3つデータセンターがある」と指摘する。

「用途不明の屋上構造を備えた7階建てのエンバシーハウスはSIGINT(信号諜報)収集用に設計することもできる。スーパー大使館構想は国家安全保障、外交関係、スパイ同盟、英国内の政治対立を巻き込む複雑な問題」

スターマー政権が経済再建と対中関係改善を優先する一方で、トランプ米政権との信頼関係やアングロサクソン系のスパイ同盟「ファイブ・アイズ」の安定性を損なうリスクが現実味を帯びているとプスツァゼリ氏はCSISのポッドキャスト(6月13日付)で指摘している。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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