コラム

英郵便局、富士通「ホライズン」欠陥で起きた大量冤罪事件...被害1万人以上、自殺者13人以上に

2025年07月10日(木)21時01分

ウィリアムズ議長は「残りの報告書が提出されるまで英国政府、省庁が待つことは何の意味もない。第1巻を先に公表した理由は被害者救済に関する適切な措置を可能な限り速やかに講じられるようにするためだ」と政府に迅速な対応を迫った。富士通は報告書に先立ち今年3月、来日したジョナサン・レイノルズ英ビジネス・貿易相と対応を協議している。

英国政府は富士通が被害者への補償金を拠出するという道義的義務を繰り返し表明していることを歓迎している。レイノルズ氏と富士通は拠出金に関する協議を進めることで合意した。しかし政府、ポストオフィスと足並みをそろえる必要がある富士通への英国社会の風当たりは依然として厳しい。

ポストオフィス冤罪事件【これまでの経過】

1999年 ポストオフィスの支店にホライズンを順次設置
2000年 ホライズンのデータを証拠に起訴開始。起訴支援はポストオフィスと富士通の契約に含まれていた
2009年 コンピューター専門誌コンピューター・ウィークリーがホライズンの疑惑を報道。被害者同盟が発足
2015年 英下院企業・イノベーション・技能委員会が調査を開始
2016年 被害者がポストオフィスを相手取り集団訴訟
2019年 ポストオフィスが元局長ら555人に対し5775万ポンド(約115億3300万円)を支払うことで和解が成立
2020年 ボリス・ジョンソン首相(当時)が独立の公聴会開始を約束
  元局長6人の有罪判決が初めて取り消される
2024年 事件を深堀りした英民間放送ITVのテレビドラマ『ミスター・ベイツ vsポストオフィス』の放映をきっかけに事態が急展開

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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