コラム

ロシアと、大戦で敗れた「枢軸国」との明確な違い...プーチンが国際社会で「決して孤立しない」理由

2024年10月23日(水)16時18分

BRICSの行方が世界の未来を決める

ケガのため今回のサミットを欠席したブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は「誰に対しても敵対するものではない」とBRICSが反米ブロックになるのを防ぐよう努める。

シンクタンク、カーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのアレクサンダー・ガブエフ所長は米誌フォーリン・アフェアーズ(9月24日付)に「BRICSの将来が世界秩序を形作る」と題して寄稿している。

BRICSは世界経済の35.6%、人口の45%を占め、G7(主要7カ国)のそれを上回る。西側が国際秩序を形作る力を失いつつある中、BRICSは西側以外の国が自律性を強化するための選択肢の一つになっている。

BRICSの中では、米国主導の世界秩序に挑戦する中国やロシアと、既存秩序を民主化・改革したいブラジルやインドの間で大きな意見の違いがある。

ロシアは経済制裁を避けるためBRICSを使ってドルに依存しない決済システムを構築しようとしている。これに対し、ブラジルとインドは西側との関係を断ち切ることなく、BRICSを利用して多極的な世界の中で中立的な立場を取ろうとしている。

西側にとって重要なのはBRICSを脅威と単純に見なすのではなく、その背景にある不満を理解し、「第三勢力」取り込みのため、より柔軟な外交を展開することだとガブエフ所長は指摘している。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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