コラム

「セクシーじゃないね」化石賞に輝いた日本の石炭依存度

2019年12月09日(月)11時50分

ドイツの環境NGOウルゲワルドなどが発表した石炭産業への投融資に関する調査報告書によると、みずほFG(フィナンシャルグループ)、三菱UFJFG、三井住友FGが石炭火力発電への融資者として融資額ランキングの世界1位から3位までを占めた。

三大メガバンクで2017~19年にかけ393億ドル(約4兆2700億円)もの融資を石炭火力発電に行なっている。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も石炭火力発電への投資家として世界2位にランク入りした。

ウルゲワルドの責任者ヘファ・シュウキング氏は「日本企業はアジアでの石炭火力発電の拡大に 2つの役割を果たしている。金融機関による投融資と直接投資だ。電力会社だけでなく大手商社もオーストラリアからバングラデシュまで新しい石炭火力発電所を開発している」という。

MAS_2414.JPG

抜本的な温暖化対策を求めるグレタさん(筆者撮影)


金曜日に学校ストを独りで始め、抜本的な地球温暖化対策を訴えているスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)が6日、第25回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP25)に合わせてパネルディスカッションに参加した。

「決して無視できないことが進行しています。もう隠すことはできません」「現状維持を望む人もいます。彼らは変化を恐れます。若い人々は変化をもたらします。だから一部の大人は私たちを黙らせようとするのです」

「二酸化炭素の排出量は減っていません。今年も(前年の2.1%増よりも改善したとは言え)0.6%増えました。私たちは本当の行動が見たいのです。政治権力者に抜本的な行動を起こさせることができたかという観点からは私たちは何も成し遂げていません」

小泉環境相もドナルド・トランプ米大統領やロシアのウラジーミル・プーチン大統領のように、グレタさんら子供を黙らせようとする大人の1人なのか、それとも。気候ネットワークの国際ディレクター、平田仁子(きみこ)さんは小泉発言についてこう語る。

「問題に向き合わなければいけない、そこに向かって踏み出さなければいけないと思っていることには期待を寄せたい。しかし、これまで散々批判されてきた問題に答えられているかどうかは中身を見てから評価したい」。日本に求められているのは言葉ではなく行動なのだ。

20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-米、イランのフーシ派支援に警告 国防長官「結

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

米債市場の動き、FRBが利下げすべきとのシグナル=

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story