コラム

なぜ文政権の支持率は低下し続けるのか?

2021年04月26日(月)11時47分

韓国では2月26日に、イギリスのアストラゼネカや米アメリカのファイザーのワクチン接種を開始し、最初は速いスピードでワクチン接種を行ったものの、アストラゼネカ製ワクチンを接種した人に異常な血栓がみられる問題が発生すると、30歳未満にはアストラゼネカ製ワクチンの接種を中止する等接種対象を調整して接種を行っている。

接種が始まってから約2カ月が経った4月24日時点までワクチンの接種を受けた人は累計約226万人(1回目の接種)で、全人口の約4.4%にとどまっている。韓国政府は、すでに計7900万人分のワクチンを契約しており、ワクチンの供給も予定通り進むと発表しているものの、国民の間にはアストラゼネカ製ワクチンに対する不安感やワクチンの供給時期に対する不安感が解消されていない。

すると、韓国政府は国民のワクチンに対する不安感を解消するために、積極的に動き出し、4月24日にはファイザー製のワクチン4000万回分(2000万人分)の購入を追加契約したと発表した。また、「他国とファイザーとの契約が韓国の供給に影響を与えることはない」と強調した。

今後の文政権の支持率や来年の大統領選挙には、経済政策や雇用政策に加えて、新型コロナウイルスに対するワクチン接種が大きな影響を与える可能性が高くなった。今後の韓国政府の動きに注目するところである。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、亜細亜大学特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米上院共和党が税制・歳出法案の修正案、控除枠縮小に

ビジネス

グッチ所有企業、次期CEOにルノーのトップが9月就

ワールド

米、空中給油機を欧州へ移動 空母も中東へ 防衛態勢

ワールド

トランプ氏が16日夜帰国、G7の予定切り上げ 「重
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染みだが、彼らは代わりにどの絵文字を使っている?
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    「そっと触れただけなのに...」客席乗務員から「辱め…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story