コラム

医薬品への「トランプ関税」には、これまでとは全く違う意味が...産業保護ではない「狙い」とは?

2025年07月25日(金)17時21分

戦略物資を輸入に頼る日本はどうなる?

そうなってくると、極めて厳しい状況に追い込まれるのが、戦略物資のほとんどを輸入に頼る日本である。

日本の製薬業界は武田薬品工業以外の企業はグローバル市場で十分に競争できないとかねてから指摘されてきた。今回、アメリカによる高関税政策によって、皮肉にも最も国際競争力の高かった武田が大きな影響を受けることになる。

半導体については、既に日本はほぼ高性能半導体を自国生産できない。戦略物資に対する高関税政策が続いた場合、さらに多くの企業が開発拠点を米国内に移してしまい、エネルギーのみならず工業製品の確保すら困難になりかねない。


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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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