コラム

フジテレビ経営問題の行方、ダルトンのHD取締役案に「疑問点」...フジ案の方が「優っている点」も

2025年04月29日(火)11時20分

ダルトン側の説得力が低下している理由

しかしながら、北尾氏はSBIグループ・トップとしての業務があるため、フジのトップを兼任することは困難であり、本人も経営の中核を担う意向はないと説明している。他のメンバーも各分野で相応の実績を持っているものの、あくまで社外役員候補であり、フジの業務執行を担うことは難しい。

一方、フジ側の人事案は、社内出身ではあるものの、問題を起こした従来体制とは関係の薄い清水賢治氏がトップとして同社を率い、社外役員がそれを支える体制であり、少なくとも形式的にはグローバル基準を満たす経営体制となっている。

ダルトン側はこの体制に疑問符を突き付けているわけだが、肝心の北尾氏自身が、ダルトンの提案に業務執行責任者がいないことを踏まえ、トップは清水氏で良いとの発言も行っている。


そうなると、現在、会社側が提案している清水氏を中心とした体制と何が違うのかハッキリしなくなり、ダルトン側の説得力が低下する印象は否めない。さらに言えば、ダルトンが提示している社外役員候補者の平均年齢は極めて高く、時代への対応という点においては、むしろ劣っているようにも見える。

最終的には、フジ側が提案した候補者とダルトン側が提案した候補者の中で適した人が信任される形に落ち着く可能性もあるだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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