コラム

フジテレビ経営問題の行方、ダルトンのHD取締役案に「疑問点」...フジ案の方が「優っている点」も

2025年04月29日(火)11時20分
役員人事が注目されるフジテレビの経営問題

YU_PHOTO/SHUTTERSTOCK

<フジ・メディア・ホールディングスが示した取締役の構成案に対して、米投資ファンド「ダルトン」が提案した候補者案を見るといくつかの疑問点・問題点が......>

コンプライアンス対応やガバナンスの不備などが指摘されているフジ・メディア・ホールディングス(FMHD)および子会社のフジテレビに対し、物言う株主が役員人事の提案を行った。だが、CEO(最高経営責任者)候補者がいないという中途半端な内容となっており、6月の総会を前に役員人事は混迷の度合いを深めている。

FMHDに対しては、弁護士らで構成する第三者委員会が、タレントによる性加害やその後の対応について会社の責任を問う報告書を提出していた。

報告書の公表と前後して会社側は、従来の経営陣を一掃し、新体制で経営を行う方針を発表したものの、投資家のダルトン・インベストメンツが会社側とは異なる役員候補者を提示し、株主総会での選任を図る方針を明らかにした。


会社側の人事案にノーを突き付けた形だが、ダルトンの提案がそのまま株主総会で通るのかは現時点では何とも言えない。なぜなら、ダルトン側が示した候補者は社外役員のみとなっており、実際に誰が会社の実務経営を担うのか明確になっていないからである。

株主提案では金融大手SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長など、金融界出身者を中心に12人の名前が挙がっている。北尾氏は野村證券出身でソフトバンク・グループ創業者の孫正義氏の片腕だった人物であり、金融マンや実業家としての能力に疑問符を付ける人はほとんどいない。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    ニューヨークで「レジオネラ症」の感染が拡大...症状…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story