コラム

「表参道タワマン都営住宅」騒動の背景にあった、東京の「のっぴきならない」不動産事情

2023年07月12日(水)11時30分

毎年、首都圏には地方から10万人程度の人口流入があり、地方の衰退によって、今後はその流れが加速するとみられる。一方で、首都圏の新築マンション供給量は多くても年5万戸程度にすぎず、再開発案件も出尽くしたことから、今後は供給数の減少が予想される。

これまでは結婚を機に持ち家の購入を検討する世帯が多く、賃貸住宅の需給バランスが取れていたが、マンション価格の高騰によって、一生、賃貸という世帯が増えると、賃貸住宅が一気に不足する。不動産価格は10年前の1.5倍以上になっており、家賃が跳ね上がるのも時間の問題だ。

公的年金の給付は今後、2~3割程度、減少することがほぼ確実となっており、住宅を持たない多くの中間層が老後、生活難に陥ることが予想される。これは首都圏だけの話ではなく、全国の大都市圏でも同じ問題が発生する可能性が高い。

中間層が安心して居住できる賃貸住宅を整備していくことは、政府や自治体にとって喫緊の課題となりつつある。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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