コラム

「雇用を守る=企業を守る」はもう機能しない...いま本当に守るべきは「労働者」だ

2022年12月21日(水)08時04分

仮に企業から解雇されても、政府が十分な生活支援とスキルアップの学習機会を提供すれば、労働者は安心して次の仕事にステップアップできる。意欲のある人は、むしろ積極的にこの制度を利用してキャリアアップを図るので、必然的に社会全体での人材適正配置が進んでいくだろう。

政府は今回の給付金をきっかけに、企業支援を中核とした従来型の雇用政策から完全に脱却し、個人支援に的を絞った新しい雇用政策に大転換すべきである。

企業側も年功序列の処遇から、業務に対して賃金を払ういわゆるジョブ型の雇用への転換を進めている。ジョブ型雇用になれば、組織ではなく個人が主役となるので、当然、雇用の支援策も個人にシフトしたほうが整合性が取れる。この改革が実現すれば、日本経済を成長軌道に戻すことはそれほど難しいことではないはずだ。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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