コラム

高度経済成長は「日本人の努力の賜物」ではなく「幸運な偶然」だったと認めよう

2022年09月06日(火)17時51分

中国が共産革命で忙しい間に

特需がなければ日本はどれだけ輸出に力を入れても、獲得した外貨は利払いに消え、国内消費の拡大は実現できなかった可能性が高い。ゼロから成長する国が必ず直面する外貨という大問題が、朝鮮特需によって魔法のように解決したのだ(いまだに外貨不足に悩む韓国を見ればその違いは一目瞭然である)。

もう一つの偶然は中国の共産革命である。中国は日中戦争に勝利したものの、国民党と共産党による内戦が勃発。共産党政権樹立後も文化大革命で多くの死者を出すなど社会の混乱が続いた。戦後の重要な時期に内戦や権力闘争に明け暮れた中国は工業化で大きく出遅れ、その間、日本は目立った競合が存在しないなかで輸出を拡大できた。中国の共産化がなければ、今の日本は存在しなかっただろう。

日本は幸運にも2つの偶然が重なって高度成長を実現し、結果として莫大な資本の蓄積に成功した。私たちは幸運だったことを素直に受け止め、得られた富を大切に活用しなければならない。日本にとって最大の武器は資本蓄積であり、経済回復のカギも資本の活用が握っている。間違っても、この貴重な財産を、通貨価値の毀損によって失わせるような選択だけはしてはならない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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