コラム

東京23区「人口流出」の実態とは? 「一極集中の是正」報道のウソ

2022年03月08日(火)19時00分

現場への出勤が命じられる業務に従事している労働者にとっては、そもそも遠隔地に住むという選択肢自体があり得ない。全面的なテレワークで郊外に移住できたのは、一握りのエリート層だけと考えたほうがよさそうだ。

もう1つの要因は都心部におけるマンション価格の高騰である。近年、全世界的なインフレの影響で資材価格が高騰しており、それに伴ってマンション価格も大幅に上昇している。

不動産経済研究所によると、21年における首都圏新築マンションの平均価格は6260万円、23区に至っては8293万円と空前の水準となっており、もはや庶民では手が出ない価格になった。将来の人口減少を見据え、都心にマイホームを求める世帯が増えていたが、一部は23区を諦め、近隣都市での購入に切り替えた可能性が高い。

東京一極集中の是正は重要なテーマだが、人口減少社会では過疎地域が増え、商圏維持の難易度が上がるので、どうしても都市部に人が集まってしまう。国民の行動は規制できないので、この現実を見据えた上で、地域政策を立案する必要があるだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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