インフラ投資で、防災と景気対策の一石二鳥......が日本では無理な理由
近年多発している大規模災害が気候変動によるものだとすると、今後も同じ頻度で災害が発生する可能性が高く、防災のために既存インフラをよりスペックの高いものに更新しなければならない。過去に整備したインフラの多くが現役だった場合、その金額は天文学的な数字となるだろう。
昭和の時代、治水をはじめとする公共事業は最大の政治利権だったことから、新規建設が最優先され、一部では不必要なインフラまで造られた。将来発生する維持費や更新費についてもほとんど考慮されなかったことから、今となっては、野放図に建設されたインフラ全てを維持管理するのは困難な状況となっている。
ちなみに2033年には道路橋や河川管理施設の約6割が建設後50年以上経過することになり、大規模な更新か新規建設、または廃棄のいずれかを選択しなければならない。非常に言いにくいことだが、一部地域については、インフラを廃棄した上で住民の移転を促すなど、厳しい決断も必要となってくるだろう。
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