年金問題「老後に2000万円必要」の不都合な真実
現在、厚生労働省が示しているモデル年金(夫が厚生年金に加入し、生涯平均年収が約500万円の専業主婦世帯)では、月額21万8000円の年金収入があるとしている。同省では5年に1度、年金財政の検証を行っており、2014年に行われた前回の検証では、最悪のケースとして14万6000円(現在の物価水準換算)まで年金が減額されるケースが提示された。
筆者も独自に試算を行ったが、年金財政を健全化するには2~3割の減額が必要との結論を得た。公的年金が制度的に破綻する可能性は極めて低いが、年金が減るという報告書の記述はおおむね正しいと思ってよい。
安倍首相はマクロ経済スライド制によって「100年安心の年金制度ができた」と国会で答弁しているが、あくまでも制度が持続できるという話であって、十分な年金がもらえるという意味ではないことを理解しておくべきだろう。
<2019年6月25日号掲載>
※6月25日号(6月18日発売)は「弾圧中国の限界」特集。ウイグルから香港、そして台湾へ――。強権政治を拡大し続ける共産党の落とし穴とは何か。香港デモと中国の限界に迫る。
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