コラム

ウクライナ停戦は世界のパラダイムシフトを引き起こすのか

2025年02月28日(金)19時00分

それは、17世紀の西欧で形成された「主権国家」を解体し、領土すら売買の対象にすることでもある。世界を国境のないサプライチェーンの統一空間に変えた、グローバル大企業の論理だ。もう国家は要らない。そうなれば、社会保障のために金持ちが余計な税金を払う必要もなくなる。

日本としてはそれでもいいが、ルールはきちんとしてほしい。参考になるのは、1975年の全欧安全保障協力会議。欧米とソ連が「ヘルシンキ宣言」に署名し、現状の国境を力で変更することは認めないことで合意した。企業の論理を国際関係に持ち込むなら、「国家の敵対的買収は認めない」というルールを国連憲章に書き加えてはどうだろう。


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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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