コラム

米ロ新冷戦の荒波で安倍外交は難破寸前

2018年02月09日(金)15時00分

日本が領土問題で妥協しても、ロシアから得られるものは微々たるものだ。他方、アメリカの支持を失う損失ははるかに大きい。中国が日本にいま歩み寄ってきたのも、トランプが中国に厳しい姿勢を見せるなか、日米首脳が緊密な仲を築いているからだ。経済と軍事面でアメリカの圧倒的優位は崩れておらず、ロシアも中国もEU諸国もアメリカを忖度しつつ行動している。

ロシアのプーチン大統領は3月18日の大統領選で再選されても最後の任期のため、ロシア国内を抑える力は弱まる。利権の奪い合いは激化し、地方は中央に逆らうだろう。プーチンに領土返還のような大問題を動かす力はもはやない。

日本は新冷戦時代にどう対応すべきだろうか。そのヒントは米ソ対立が激しかった冷戦時代にある。60年代末、日米同盟を堅持する日本は北方領土返還要求の旗を降ろすことはなかった。一方でシベリア開発に乗り出し、港などのインフラ建設、林業・石炭・天然ガス開発など大型案件で対ソ関係を進めた。この前例に倣いつつ、対ロ外交を組み立て直すべき時期だろう。

本誌2018年2月13日号[最新号]掲載

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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