コラム

韓国の与党も野党も「法の支配」と民主主義を軽視している

2025年01月15日(水)09時56分

誰にとっても決して歓迎すべきでない状況

大統領は憲法の規定を無視して戒厳令を宣布し、国会の閉鎖を試み、野党代表は法的処罰の結果として公民権を失うことを避けるために、裁判の結果が出る前に自らの大統領就任を模索する。そこで犠牲にされているのは、この国における「法の支配」であり、それに支えられた民主主義である。

大統領官邸の前では、今週も大統領支持派と反対派のデモが行われる。寒いソウルの冬空の下、国民が自ら路上に立ち民主主義を守らなければならない状況は、誰にとっても決して歓迎すべき状況ではない。そのことだけは繰り返し確認しておくべきだ、と思う。

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プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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