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政治的野心をむき出しにした行動
世論の変化は、抵抗を続ける大統領に対する見方においても同じである。リアルメーターによれば、尹の逮捕を支持する人は54.4%だが、これに反対する人は44.5%にも達している。依然として大統領への迅速な処罰を求める声が多数であるものの、その差はもはやわずかになっている。
それでは、このような韓国世論の急速な変化をもたらしたものは何か。明らかなのは、弾劾訴追案可決の後も大統領代行を務めていた首相を弾劾するなど、強硬な姿勢に終始する野党、とりわけその代表である李の政治指導に対する忌避感情であろう。
選挙法違反をはじめとする数々の嫌疑を抱える李の、自らの事件の判決が出る前に大統領選挙を実施したい、という思惑がその性急な行動の背景にあるのは明らかだ。そのあまりに政治的野心をむき出しにした行動が、逆に保守派を尹と与党の下に結集させている。
そして、ここから分かることがある。それは程度の差こそあれ、こと法的な手続きを軽視して、自らの政治的利益を拙速に追求しようとしている、という点においては、韓国の与野党が実は同じ方向性を有している、ということである。
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