- HOME
- コラム
- Edge of Europe
- 共産党支配に苦しんだ国のはずなのに...スロバキア…
共産党支配に苦しんだ国のはずなのに...スロバキアで体感した「親ロシア」の謎
戦争を回避するために、イギリスのネビル・チェンバレン首相は「協定」を交渉し、そのなかでチェコスロバキアはこの領土を割譲するよう強いられ、そのうえ戦わずして国境地帯の要塞を全て放棄しなければならなくなった。
その翌年、当然ながらヒトラーは無防備になったチェコスロバキアの残りの地域に軍を向かわせ、征服した。事実上イギリスは、ドイツとの戦争を回避しようとの無駄な努力によってチェコスロバキアの主権を売り渡したことになる。
明らかに、今のスロバキアにおける親ロシア政治には、歴史的背景以上の理由がある(LGBTの権利や移民問題など、ある種の「リベラルな価値観」への反発もあるだろう)。
でも僕は、イギリスが自らの保身のためチェコスロバキアをヒトラーに売り渡し、ロシアが大きな犠牲を払ってヒトラーを追い出したと考えるのは理にかなっていると思う。だから「西側は善、東側は悪」という単純な物語は、スロバキア市民にとっては必ずしもそう単純ではないのだ。

アマゾンに飛びます
2025年9月9日号(9月2日発売)は「豪ワーホリ残酷物語」特集。円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代――オーストラリアで搾取される若者のリアル
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
イギリスのパブで偶然出会った日本語ペラペラのイングランド人...さらに驚いた偶然は? 2025.07.19
イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる? 2025.07.12
ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知られざるイギリスのビール事情 2025.07.05
築150年の家に住むと何が起こるのか...ビクトリア朝時代の住宅の窓をめぐる苦労 2025.06.26
住宅足りなすぎ高すぎで買えない問題と、それでも田園地帯をつぶしたくないイギリス人 2025.06.19
英首相邸への放火はロシアの危険な新局面? いや、「原点回帰」だ 2025.06.04
僕とクソダサいマイカップの抱腹絶倒で数奇な運命 2025.05.31