EU9カ国、「欧州製品の優先採用」に慎重姿勢 加盟国間の溝浮き彫り
ベルギー・ブリュッセルの欧州委員会本部で2019年9月19日撮影。REUTERS/Yves Herman
Philip Blenkinsop
[ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)加盟9カ国は8日、域内産業支援を目指した「欧州製品の優先採用」の方針に関して、極めて慎重な姿勢を求めた。同日開催のEU関係閣僚会合で提出される文書を、ロイターが確認した。優先採用の方針はフランスやドイツが支持しており、EU加盟国間の溝が浮き彫りになった。
EUの欧州委員会は来年1月、脱炭素化を進めつつ域内産業を強化するための提案を行う予定。中国からの輸入への依存を減らすよう、域内製品を優先する要件が盛り込まれる見通しだ。
フランスのマクロン大統領は先週、中国の習近平国家主席に対し「持続不可能な」貿易不均衡の是正支援を求め、中国が対処しない場合には関税を課すと警告したことを明らかにした。ドイツのクリングバイル財務相は重要部品に関して「欧州製品購入」の取り組みを呼びかけたほか、メルツ首相も公共入札での欧州製品優先を支持すると述べている。
こうした動きに対し、チェコ、エストニア、フィンランド、アイルランド、ラトビア、マルタ、ポルトガル、スウェーデン、スロバキアの9カ国は文書で、価格やサプライチェーン(供給網)、競争に与える影響を総合的に評価すべきだと主張した。「欧州製品の優先」は適切な代替措置がない場合に限って検討すべきであり、戦略的分野に限定し一定期間のみ適用すべきだと主張。煩雑となる原産地確認のルールは避ける必要があるとも述べた。
同志国との連携強化はEUの多様化戦略の一環であり、提案がEUの貿易関係を損なうべきではないと指摘。「欧州優先を広く適用すれば、域内企業と消費者から選択肢や競争が減り、価格上昇やイノベーションの低下を招く懸念がある」とも強調した。





