コラム

国技館で天皇を見た、平成は立派で前向きな時代だった

2019年03月27日(水)18時10分

日本は力が欠けていた分野で偉大な力を見せたのだ。高いレベルに達しても、まだ成長している。新幹線が北は盛岡、南は博多まで走っていたときは、そういうものだろうと思った。でも自分が世界的に有名な鉄道で、秋田や金沢、青森まで思い出深い旅をする日が来るとは想像もしなかった。

もちろん1997〜2007年に本誌と英紙デイリー・テレグラフ東京支局の記者だった頃は、誰もが知る日本の問題を伝えた。高齢化社会、公的債務、政治の動脈硬化......。

だが、楽しい仕事もたくさんあった。よく覚えているが、本誌が2004年に「世界が尊敬する日本人100」という特集を組んだときは、そんな人が100人もいるのかと心配した。候補者は十分見つかり、企画はその後も続いた。彼らの顔触れは実に多彩で、それぞれに魅力的な物語があった。

デイリー・テレグラフ紙で働いていたとき、街頭で知らない人々にインタビューしたことがある。内気な僕には苦手な仕事だったが、こうした出会いは僕の目を開かせた。思いもよらない洞察に満ちた意見を聞き、平成日本の目撃者になれた喜びを新たにしたものだった。

<「ニューズウィークが見た『平成』1989-2019」掲載>

「ニューズウィークが見た『平成』1989-2019」書き下ろしコラム
長岡義博:平成は日本人に「無常」を教えた──バブル崩壊から原発事故、そして次の「非常識」
ピーター・タスカ:失われた20年に「起きなかったこと」に驚く──平成は日本を鍛え上げた時代
デーナ・ルイス:平成の日本:「新しい不平等」の受け入れと、無関心の仮面の下に見たもの
ビル・パウエル:去りゆく象徴、善良なる男性、平成日本の「普通の天皇」

※詳しくは「ニューズウィークが見た『平成』1989-2019」をご覧ください。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

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