コラム

セレブがこぞって応援するサッカーチームって?

2015年06月15日(月)10時00分

 一方、バーミンガムはイギリスの忘れられた都市だ。人口ではイギリス第2位だが、マンチェスター、リバプール、エディンバラはもちろん、ニューカッスルほどの地位さえなさそうだ。政治家や有名人は、忘れられ、無視された人々の機嫌をとることに価値があることをよく分かっている。バーミンガムは地理的にもイングランドの中央に位置しているから、ヴィラを応援することは、「イギリスの中心」とつながっている、ということにもなる。

 ヴィラには強力な地元のサポートがあるが、世界中でファンを獲得しているようなチームではない。プレミアリーグにとどまれるだけの資金力はあるが、巨大クラブのように海外のスーパースターをカネで買うことはできない。だからヴィラは比較的「純イギリス的」なクラブといえる。

 ここ30年の可もなく不可もない退屈な成績に比べれば、今シーズンのヴィラは刺激的だった。まず「熾烈な生き残り競争」に巻き込まれ、あやうくプレミアリーグから降格するところだったが何とか免れた。そうかと思えばFAカップでは決勝まで勝ち上がる奮闘。でも5月30日の決勝では4対0で敗れ、せっかくの成果を台無しにしてしまった。

 もちろん、ウィリアム王子もその試合会場にいた。勝者に優勝カップを渡すのは王子の役目だ(アーセナルだったが)。キャメロンは「ずっと前からの私的な用事」のため、観戦できなかったそうだ。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マレーシア中銀、政策金利据え置き 預金準備率引き下

ビジネス

シティ、北海ブレントの短期予測引き下げ 米・イラン

ビジネス

アングル:インド映画業界に激震、トランプ氏「外国作

ワールド

米英貿易合意発表へ、トランプ氏の関税戦争発動以来初
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 4
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 5
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 8
    「関税帝」トランプが仕掛けた関税戦争の勝者は中国…
  • 9
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 10
    日本の「治安神話」崩壊...犯罪増加と「生き甲斐」ブ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story