コラム

パーティーが多過ぎる不思議

2009年12月04日(金)13時07分

「最近の私たちって、パーティーが多過ぎ」。神戸で学生生活を送っていたとき、日本人の友人たちのこの発言が僕たちイギリス人の間で有名になったことがある。ちょうど3カ月間で3つ目のパーティーを計画中だった僕らは、思わず笑ってしまった。何しろイギリスでは、1週間に3つのパーティーに参加するなんてことも普通だったから。

 だから、そんな僕がこう発言するのは非常に抵抗があるのだが------「最近のアメリカ人ってパーティーが多過ぎ」。

 まず10月には、ハロウィンという「ビッグイベント」がある。お祭り騒ぎはその数週間も前から始まり、人々は玄関前の庭を骸骨やらお化けやら、くり抜いたカボチャやらで念入りに飾り付ける。イギリスにはハロウィンをこうして祝う習慣はない(最近はアメリカ風が流行していると聞くが)から、僕にはこれらすべてがとても奇妙に思える。

 ハロウィンはもともと宗教的なお祝いだったのに、そんな要素はもはや見当たらない。人々の祝い方を見て、ハロウィンがそもそも何の祭なのかを言い当てることは難しい。

 子供たちは菓子を要求しながら道を練り歩く。お願いしたりねだったりするのではなく、脅して菓子を「巻き上げ」ている。

 大人たちは仮装パーティーを開く。これらのパーティーはどういうわけか性的な要素に満ちている。男性は売春宿の亭主、女性は売春婦さながらに仮装する(『バットマン』シリーズのキャットウーマンそっくりに仮装したものすごく魅力的な女性の姿を忘れられない)。グリニッチビレッジで行われる仮装パレードは、とても凝っていて独創的なコスチュームで有名だが、やはり性的な要素が強い。ニューヨークのいたるところにあるコスチューム店の売り上げの90%がハロウィン前の1週間に集中していると、僕はにらんでいる。

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 ハロウィンのお祭り騒ぎが過ぎ去ると、今度は感謝祭という、これまた「ビッグイベント」が迫ってくる(11月の第4木曜日)。感謝祭はハロウィンほど社交的な催しではないが、この時期は帰省のピーク。ちょうど日本のお盆のように、人々が故郷で家族と過ごすために都心を脱出する(この混乱ぶりをテーマにした『大災難P.T.A.』という映画まである)。

 この伝統も、ある意味で奇妙だ。感謝祭はキリスト教の発祥前のヨーロッパで行われていた収穫感謝祭に由来する。だが今の感謝祭は愛国的なお祭りだ。イギリスからアメリカに渡った入植者たちがプリマス植民地で初めての収穫を祝って行われた祝宴が、アメリカの感謝祭の起源とされているからだろう。

 現在の感謝祭に宗教色がないことは、入植者たちがとても信心深くて、「感謝」を神に捧げるために行った祭事だったことを考えるとなんだか不思議だ。今の感謝祭は、家族が集まり、七面鳥をはじめとする大量の料理を食べる行事でしかない(入植者たちの感謝祭では七面鳥は出なかったというのに、なぜ七面鳥なのだろう)。

 けれど僕が最も理解しがたいのは、アメリカ人が七面鳥中心の家族イベントを11月末に行って、その1カ月後にまたも七面鳥の「ビッグイベント」であるクリスマスを祝うことだ。感謝祭が終わった翌日にはもう、街中の店にクリスマスソングが鳴り響く。

 僕にとって昔からクリスマスは特別なイベントだった。1年に1度しかなく、アメリカとは違って、似たような行事は他になくて、1年で最も素晴らしい時間だったから。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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