コラム

顔も位置もDNAも把握される――米国で現実化する「SF級監視国家」

2026年01月03日(土)08時34分

このアプリも、スキャンするだけで莫大な個人情報を確認できるようになっている。

最近では、Metaのスマートグラスも用いられているという報道がある。見かけはサングラスだが、誰かを見ると関連情報が表示されるというものだ。ノースカロライナ州シャーロットでの強制捜査の際に使用されていることが確認された、と404 Mediaが報じている。

見られただけで個人情報が渡り、撮影までされるという、悪夢のような装置と言える。悪用された場合、歯止めがきかなくなるだろう。

この強力な監視体制は、ICEが他の米政府機関や民間企業を活用することで実現されている。民間のデータブローカーからデータを購入し、監視技術を持つ民間企業にシステムを発注している。また、アメリカの各行政機関を情報源として横断的に利用している。

国土安全保障省(DHS)からは対象者の市民権ステータスの情報を得ており、全納税者のデータを保有する内国歳入庁(IRS)からは納税者の住所などの個人情報を入手していた(後に訴えられ、情報共有は停止)。

運輸保安庁(TSA)からは、週に複数回、空港を利用する旅行者のリストを得ている。ICEには、行政機関内のデータを自由に使えるという認識が蔓延している、という指摘もある。

民間企業と結びつく監視国家

この巨大監視網を支えている民間企業は、Flock Safety、Palantir、トムソン・ロイター、LexisNexis、AT&T、Clearview AI、TechOps Specialty Vehiclesなど多数存在する。

プロフィール

一田和樹

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)『ネット世論操作とデジタル影響工作』(共著、原書房)など著作多数。X(旧ツイッター)。明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員。新領域安全保障研究所。

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