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コラム

アメリカの顔をした中国企業 Zoomとクラブハウスの問題

2021年02月22日(月)17時00分

「アメリカの顔をした中国企業」は今後も増え続ける...... REUTERS/Florence Lo

<Zoomやクラブハウスと中国政府との関わりが問題になっている。仮にクラブハウスから利用者の電話番号を入手できたとすれば、利用者の位置情報、通話の盗聴がハッキングなしで可能となる...... >

日本ではあまり注目されなかったZoom問題

2020年12月にオンライン会議サービスで有名なZoom社の元幹部が逮捕された。中国当局の指示を受けてZoomの会議の内容を検閲し、会議を中断したり、利用者のIDを利用停止にしたというものだ。日本でも報道されたが、あまり注目されなかったようだ。

実は逮捕の半年以上前に、すでにZoomの危険性は指摘されていた。2020年4月カナダ、トロント大学のCitizenLabは、レポートを公開し、Zoomの会議の内容が中国当局に漏れている可能性を指摘していた。このレポートはアメリカでも深刻に受け止められ、TIMEロイターThe Intercept_など各誌で取り上げられた。

さらにその後、国土安全保障省からのZoomの安全性の警告、深刻な脆弱性の発見、50万件の利用者の個人情報が販売されていたことの暴露、グーグルが従業員にZoomの使用をやめるよう通知など、さまざまな出来事が続いた。もちろんいち早く台湾政府はZoomを禁止した

こうした一連の問題の後での逮捕だったので、ある程度予想された結末だったとも言える。しかし、Zoom事件の問題は根が深い。最初にZoomの問題を発見したCitizenLabはそのレポートの中でZoomを「A US Company with a Chinese Heart」と呼んでいた。Zoomはアメリカのシリコンバレーの企業であるが、開発拠点を中国に置き、従業員も中国人が多いため、こういう呼び方をした。

ちなみに日本のサイバーセキュリティ関係者の多くは、この逮捕までZoomの危険性に気づいておらず、のんきにZoom呑み会開いており、筆者が危険性を指摘しても冷笑的だった。同様のことはIoT機器に感染するマルウエアMiraiでも起きた。2016年に世界的な被害を起こし、日本国内でも感染が広がった。先立つ2013年3月27日にたったひとりの人物が約42万の機器をハッキングし、420億のIPアドレスを調査した事実を紹介し、今後IoT機器への攻撃が深刻な脅威になることを警告したが、当時は耳を傾ける者はいなかった。今回は同様の展開にならないことを祈りたい。

Zoomより深刻なクラブハウス問題

最近、注目されているクラブハウス(Clubhouse:開発会社はAlpha Exploration)でも「A US Company with a Chinese Heart」の影がある。クラブハウスは音声通話でAgoraというシリコンバレーの企業のシステムを利用している。

Agoraは音声通話処理に特化したサービスを提供しており、クラブハウス以外にもいくつもの企業が同社のサービスを利用している。Agoraのサービスを利用することで、中核となる音声通話処理を自前で開発したり、そのためのインフラを維持したりする必要がなくなる。これまでもAgoraとクラブハウスの関係については取り沙汰されていたが、検証されたレポートが最近公開された。

2021年2月12日にスタンフォード大学の Internet Observatory(SIO)は、「clubhouse in China: Is the data safe?」というレポートを公開した。

プロフィール

一田和樹

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)など著作多数。ツイッター

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