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エア・カナダ客室乗務員、復職命令を拒否 ストライキ継続

2025年08月18日(月)08時47分

 8月17日、カナダ航空大手のエア・カナダのストライキ中の客室乗務員は、政府が支援する労働委員会の復職命令を拒否した。ブリティッシュコロンビア州リッチモンドで撮影(2025年 ロイター/Chris Helgren)

Allison Lampert Rishabh Jaiswal Promit Mukherjee

[17日 ロイター] - カナダ航空大手のエア・カナダのストライキ中の客室乗務員は17日、政府が支援する労働委員会の復職命令を拒否した。エア・カナダは運航再開を延期せざるを得なくなっている。

カナダ公共労働組合は1万人のエア・カナダ客室乗務員がストライキを継続すると発表し、復職命令が違憲で、「航空会社の利益を守るのが目的だ」と批判した。一方でエア・カナダに対して「公正な合意を得るために」再び交渉の場に戻るよう求めた。エア・カナダは運航再開の予定を17日から18日夜に延期すると発表した。

客室乗務員のストライキは数カ月にわたる交渉が行き詰まったためで、16日の早朝に始まった。エア・カナダはストライキに備えて1日700便のほとんどを運休し、10万人以上の旅行者が代替手段を探さざるを得なかった。

カナダ産業関係委員会はストライキ宣言から数時間で、ハイドゥ労相の要請に応じて強制仲裁を命じた。カナダ労働法は経済保護の観点からこうした命令を出す権限を政府に与えている。

エア・カナダは政府の介入を促していた一方で、カナダ公共労働組合は強制仲裁がエア・カナダに対する圧力を弱めると主張し、交渉を通じた解決を強く求めていた。

トロント大学の雇用関係教授ラファエル・ゴメス氏は「連邦政府はカナダ労働法に基づく規則を管理する権限をカナダ産業関係委員会に委ねている。従わない場合は法律違反となる」と述べた。

組合が復職命令に従わないのは極めて異例だ。カナダの郵便労働者が1978年、復職法に従わなかった結果、議会侮辱罪によって組合の指導者の罰金と収監につながった。

オンタリオ州ロンドンのウェスタン大学法学部名誉教授マイケル・リンク氏は、政府が命令を強制するため裁判所に訴えて侮辱罪の命令を得るのが最善の方法だと語った。

少数与党の自由党政権は復職法を成立させることも可能だが、野党の支持と上下両院の承認が必要だ。議会は9月15日まで休会している。カナダ公共労働組合はコメントの要請に応じなかった。トルドー前政権は昨年、経済を麻痺させる恐れのあった鉄道や港湾のストライキを阻止するために介入した。

リンク氏はカナダ公共労働組合が今回の命令に対して法的異議申し立てをする可能性が高いと述べた。政府がカナダ産業関係委員会を通じて強制仲裁を命じるために用いた「第107条」と呼ばれる特別権限の行使は比較的新しい。労働組合はこうした介入が雇用主に有利で団体交渉の権利を否定していると主張し、この条項を批判している。

ロイター
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