ニュース速報
ビジネス

米GDP、第1四半期速報値0.3%減 関税で3年ぶりマイナス成長

2025年05月01日(木)03時31分

米商務省が30日発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比0.3%減となった。2018年12月撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

Lucia Mutikani

[ワシントン 30日 ロイター] - 米商務省が30日発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比0.3%減となった。米経済がマイナス成長に陥るのは2022年第1・四半期以来3年ぶり。トランプ大統領が打ち出す関税措置を前に、企業による大量の駆け込み輸入があったことが響いた。

市場予想(0.3%増)に反し、マイナス成長となった。2024年第4・四半期は2.4%増だった。

第1・四半期は連邦政府支出削減も重しになった。トランプ政権が進める大規模な人員削減などの積極的な予算削減策と関連しているとみられる。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「企業が関税を回避するための輸入を前倒しし、その結果として貿易が急拡大した場合、貿易収支の悪化は第2・四半期には反転し、経済成長率はある程度回復する」と指摘。ただ「不確実性の高さと高関税を背景に、米経済は年末までに再度マイナス成長に陥る」との見方を示した。

第1・四半期は輸入が41.3%増加。消費財と資本財の双方が増加し、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)で世界的な供給網が分断された20年第3・四半期以来の大幅増となった。

輸出は1.8%増加したものの、輸入の急増で相殺され、貿易赤字が急拡大。GDPの押し下げ効果は4.83%ポイントと、過去最大に達した。

一方、在庫積み増しは大幅に回復。輸入の増加による影響が一部緩和された。

エコノミストらは、今回の指標は米連邦準備理事会(FRB)が来週開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置くことを促すとの見通しを示した。

ただ、モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのチーフ経済ストラテジスト、エレン・ゼントナー氏は「GDPの低迷はスタグフレーションに対する警告だ。この種のデータは市場を落ち着かせることはなく、FRBの仕事を楽にするわけでもない」と指摘している。

経済の3分の2以上を占める個人消費は1.8%の伸びとなった。第4・四半期は4.0%増だった。主に医療、住宅、非耐久財といったサービスと財の両方への支出に支えられた。

増加の大部分は3月に見られた。家計が自動車の購入を前倒ししたことで支出は0.7%急増。エコノミストは、この先取り的な買いが4月も続くと予想している。

サンタンデールUSキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「現時点では、ほとんどの店舗が相互課税発表前に輸入された在庫をまだ販売しており、近いうちにやってくるであろう価格上昇を反映していない可能性がある」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中