大統領の「自爆」クーデターと、韓国で続いていた「軍人政治」
政党や軍や政治家より「法の支配」を重んじる
皮肉なことに、尹は検察官時代の16年に朴の汚職疑惑の捜査を指揮した人物だ。その捜査をきっかけに朴の弾劾手続きが始まり、戒厳令の宣布が水面下で準備されるに至った。今回のクーデター未遂では、尹自身も民主主義者というより、儒教的な独裁者だったことが明らかになった。
それとは別に、もう1つ明らかになったことがある。尹の戒厳令宣布に対して韓国社会がほぼ足並みをそろえて反対し、その企てを失敗に追い込んだことは、韓国の政治文化に強力な民主主義的性質が根付いている証拠だ。政党や軍や政治家よりも法の支配を重んじる考え方が、そこには確かにあった。

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