米FDA、ノボの肥満治療薬「ウゴービ」経口錠を承認 株価急伸
デンマークのコペンハーゲンにあるデンマークの製薬会社ノボノルディスクのオフィスの全景。2023年9月26日撮影(2025年 ロイター/Tom Little)
Maggie Fick Mariam Sunny
[22日 ロイター] - 米食品医薬品局(FDA)は22日、デンマーク製薬大手ノボノルディスクの肥満症治療用の経口薬を承認した。注射薬に続く新たな選択肢となり、競合の米イーライ・リリーに奪われた市場シェアの奪還を目指す同社に追い風となる。
承認されたのは有効成分セマグルチド25ミリグラムの錠剤で、注射薬「ウゴービ」や「オゼンピック」と同じ成分を用いる。販売ブランドは「ウゴービ」となる。ノボはすでに2型糖尿病向けに経口セマグルチド「リベルサス」を販売している。
今回の承認は、株価下落や業績見通しの下方修正、競争激化による注射薬ウゴービの販売減速などで苦戦が続くノボの立て直しにつながる可能性がある。
承認発表を受け、米国上場のノボ株は時間外取引で8%上昇した一方、リリー株は1%下落した。
64週間の後期臨床試験では、1日1回25ミリグラムの経口セマグルチドを服用した被験者の体重減少率は平均16.6%となり、プラセボの2.7%を大きく上回った。
同薬は、肥満の成人、もしくは少なくとも1つの肥満関連疾患を抱える過体重の成人を対象とした慢性的な体重管理治療として承認された。肥満に伴う医療費の増大に保険会社や雇用主、政府が直面するなか、潜在的な対象患者層の拡大につながる。
世界の肥満症治療薬市場は次の10年で年間1500億ドル規模に達すると予測されており、数千万人規模の潜在患者を取り込む可能性がある。
米遠隔医療企業ウェルドックのアナンド・アイヤー最高AI責任者は「新たな適応拡大や経口薬の登場で、患者数は大きく増えるだろう」と指摘する。
ノボは、ウゴービ錠の開始用量である1.5ミリグラム錠を1月上旬に発売すると発表した。
ノボとリリーは、自社の肥満症の錠剤の開始用量を月額149ドルで提供することに合意した。対象は米政府の公的医療保険であるメディケア(高齢者向け)とメディケイド(低所得者向け)の利用者のほか、ホワイトハウスの消費者向け直販サイト「TrumpRx(トランプRx)」を通じて自己負担(現金払い)で購入する顧客となる。





