コラム

「大炎上」アメリカ学生デモはアメリカ社会のイデオロギー戦争だ

2024年05月18日(土)19時32分

正解なき論争、深まるガザの悲劇

3つ目は、アメリカ社会における保守派と進歩派のイデオロギー戦争である。共和党はこの機会を利用して、文化的エリートたちを「反ユダヤ主義」だと批判している。進歩派がキャンパスでヘイトスピーチを容認し、リベラルな思想が公共の安全をむしばんでいると言いたいのだ。

一方、左派の中にも、イスラエルの立場を人種差別主義・植民地主義と見なし、警察によるデモ制圧はアメリカ社会の反パレスチナ的・全体主義的傾向の表れだと批判する人たちがいる。このような見方が反ユダヤ主義の台頭を助長している。

キャンパスに立ち並ぶテントと声高に叫ばれるスローガン、デモを制圧する機動隊、そして右派と左派の人種差別的な主張を通じて、パレスチナ問題に関する議論はますます分かりにくくなっている。

それでも少なくとも言えるのは、大がかりなデモにより、パレスチナ人の苦境に改めて光が当たったこと、その半面でハマスの民族大虐殺的な主張が見落とされていること。そして、互いに決して歩み寄ることのないアメリカの党派対立の下、正解のないジレンマをめぐる論争により、ガザの悲劇がいっそう深まっていることだ。

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プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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