コラム

「プーチンとの友情」を大急ぎで隠したルペン、「移民排斥」でマクロンに勝てるか?

2022年04月12日(火)17時25分

4年前、ガソリン価格の高騰に抗議して30万人以上が黄色の安全ベストを身に着け、フランス全土で街頭デモを繰り広げた。この「黄色いベスト運動」は、過去30年間の共産党と社会党の凋落もあって、左派と右派のポピュリストを糾合し、マクロンを上流支配階級に特徴的な傲慢さとエリート主義の産物と見なしている。黄色いベストとルペンは、どちらも根深いポピュリストの怒りを体現する存在なのだ。

一方、マクロンは経済改革に取り組む能力を強調し、社会の結束とEUの統合推進を主張する。スローガンは「フランスを前進させるためにヨーロッパを変えよう」。マクロンは理性に訴え、ルペンは恐怖と怒りに訴える──古典的な政治的分裂だ。

感情面はともかく、有権者の大半はルペンと極右思想を忌避する傾向が根強い。あるフランス人識者の言葉を借りれば、おそらくマクロンは4月24日、「安楽椅子に座ったまま」勝利を収めるだろう。

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グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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