北朝鮮「スリーパー・セル」を恐れる必要はない

北朝鮮はおそらく日本にスリーパー(潜伏スパイ)を送りこんでいるが…… KCNA-REUTERS
<ターゲット国の社会に溶け込む工作員は、殺人や妨害活動を目的としているのではない>
北朝鮮はおそらく、日本の社会にスリーパー(潜伏スパイ)を送り込んでいる。また、イギリスのタブロイド紙デイリー・メールが薄っぺらな記事で指摘したように、北朝鮮は暗号化されたメッセージをスパイたちに送っているようだ。
だが、スリーパーがテロリスト化するだろうか。
日本の国際政治学者・三浦瑠麗が、もし北朝鮮との戦争が始まり、最高指導者の金正恩が「殺されたのが分かったら、一切外部との連絡を絶って、都市で動き始めるスリーパー・セルというテロリスト分子がいる。ソウルでも、東京でも。もちろん大阪でも」と、テレビでコメントしたという。
冒頭で述べたように、日本に北朝鮮のスリーパーがいること、そして北朝鮮が(日本だけでなく)各国にいるスパイに向けて暗号メッセージを送っていることはおそらく事実だろう。だが、日本にいる北朝鮮のスリーパーを恐れる必要はまずない。最悪の場合、1、2人が殺されるかもしれないが、その程度だろう。
かつてイギリスの情報機関トップが、当時CIA諜報員だった私に、自分たちの最大の武器は「神話だ」と言って笑ったことがある。史上最強のスパイ、ジェームズ・ボンドの小説や映画のおかげで、イギリスの情報機関は実際よりもはるかに有能だと思われている。そのイメージが、彼らに大きなパワーを与えてくれているというのだ。
人間は想像力が豊かなだけではない。自分の理解を超える現象を前にしたとき、本能的に筋の通る「ストーリー」を見つけて説明しようとする。そこに不安(この場合北朝鮮との緊張)が加わると、タブロイド紙の記者も教養ある学者も、「北朝鮮のスリーパー・セル」なるものをリアルな不安として大々的に取り上げるようになる。
そもそもスリーパーとは、ある国に長期にわたり送り込まれる工作員のことだ。事前に任務を言い渡されているが、ジェームズ・ボンドのように手際よく任務をこなして帰国するスパイとは違う。スリーパーはターゲット国の社会に完全に溶け込み、本国から指示があるまで、ひたすら「普通の生活」を送る。
一般に、全体主義的な国は民主主義国よりも、スリーパーをたくさん使う傾向がある。工作員にとっても、民主主義国での長期生活には魅力が多い。
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