コラム

「FIREできる状態になったら、多くの人はFIREしない」と藤野英人が語る理由

2022年05月12日(木)11時45分
藤野英人

「お金のまなびば!」より

<経済的自立と早期リタイアを目指す「FIRE」が注目を集めている。ファンドマネージャー、藤野氏のもとにもFIREについての相談がよく舞い込むが......>

近年、アメリカ発祥のムーブメント「FIRE」が若者を中心に注目を集めている。FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った言葉で、経済的自立と早期リタイアを目指す考え方だ。リタイア後の生活費は投資などの不労所得で賄うものとされている。

FIREを達成するには「年間の生活費の25年分の資産を貯めて、年4%で運用すること」が1つの目安とされている。年間の生活費を300万円とすると7500万円貯めなければならないので、一般の会社員からすると途方もない金額に思える。

しかし、貯めるのではなく生活費を抑える考え方もある。地方に移住すれば都心に比べて生活費は格段に抑えられる上に、移住支援金や住居を提供する自治体も増えたからだ。

「コロナの影響で、インターネットさえあればどこでも仕事できるようになった。10~20年前に比べれば、お金をそれほどかけず、投資の利益によって働かなくても済む工夫がはるかにできるようになった」と、ひふみシリーズの最高投資責任者、藤野英人氏は言う。

藤野英人氏のもとには、「FIREを達成するにはどうすればよいか」との相談がよく舞い込む。これに対し、藤野氏は「いいですね、ぜひやりましょう」と答えるという。だが、実は早期リタイアを推奨しているわけではない。

藤野氏の本当の狙いとは何か。

YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」で、藤野氏が解説した。

投資や社会のことが分かれば自分の価値も上がる

「FIREできる状態になったら、多くの人はFIREしないと思う」

藤野氏はこう語る理由として、知人男性の例を挙げた。その知人は若い頃、新品の車を人から借りて暴走し、崖にぶつけて一日で壊してしまった。その瞬間から、借金を返し続けることが彼の働く目標になったという。

しかし、無事に返金し終わると、今後は「自分のスポーツカーを買いたい」という欲が出てきた。それを達成すると、また次の目標ができた。最終的には起業し、上場までしたそうだ。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:トランプ税制法、当面の債務危機回避でも将来的

ビジネス

アングル:ECBフォーラム、中銀の政策遂行阻む問題

ビジネス

バークレイズ、ブレント原油価格予測を上方修正 今年

ビジネス

BRICS、保証基金設立発表へ 加盟国への投資促進
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 6
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story