コラム

目撃者続出! 流星と、流星より明るい火球にまつわるトリビア

2022年08月23日(火)11時25分
火球

火球は流星群の中で見られることもあるが、たいていは単発の流星として観察される(写真はイメージです) ClaudioVentrella-iStock

<18日夜、八丈島の上空付近を流れた火球が関東地方を中心に広く観察された。どんな流星なら「火球」と言えるのか? 惑星や人工衛星、飛行機との見分け方は?>

18日午後7時22分に、関東を中心に各地で「火球(かきゅう)」が観察されました。

火球とは、流星(流れ星)の中でも特に明るく輝くものを指します。統一された定義はありませんが、空に見える星の中で最も明るい金星(マイナス4等星)よりも明るいことが一つの目安となっています。

今回の火球は、八丈島の上空付近を流れたと見られており、空に現れてから5秒ほど強い光を放った後に消滅しました。

近年、全国で定点観測カメラの設置が進んだり、SNSで個人の撮影した映像が共有されたりすることで注目を集めるようになった火球。日本一有名な火球や、流星にまつわるトリビアを紹介します。

空中で消滅しても、塵が地球に降り注ぐ

太陽の周りには、地球のような惑星だけでなく、小惑星や流星物質と呼ばれる小天体も公転しています。流星の元になる小天体は、0.1ミリ以下のごく小さな塵から小石サイズや岩のような大きさまで様々です。

流星物質が地球の大気に毎秒数十キロメートルで衝突し突入すると、プラズマ化したガスが発光します。通常の流星では流星物質は大きくても数センチほどですが、それより大きいとひときわ明るく輝く火球になります。

流星や火球は「燃えている」ように見えますが、私たちは燃焼(酸素と結びつくときに光や熱の発生を伴うこと)の炎を見ているわけではありません。大気の分子と衝突すると、流星物質の運動エネルギーは熱エネルギーに変わります。熱エネルギーで蒸気となった流星本体や大気分子が出す光が観測されるのです。

火球のように元の小天体が大きい場合は、隕石として地上に届く場合があります。もっとも、見た目には空中で消滅した流星も、数マイクロメートルの流星塵として地球に降り注いでいます。

流星は、群流星と散在流星に分類されます。群流星は流星群に属する流星です。天のある1点から出現するように見えるため、その点が含まれる星座の名前を付けて「ペルセウス座流星群(8月13日前後に極大)」「ふたご座流星群(12月14日前後に極大)」などと呼ばれます。地球は太陽の周りを1年で公転しているので、流星群の時期に通る公転軌道の周囲にはたくさんの塵や小石があることを示唆しています。

いっぽう散在流星は、流星群には属さない流星です。火球は流星群の中で見られることもありますが、たいていは単発の流星として観察されます。

ちなみに、流星や火球と見た目が似たものに彗星(ほうき星)があります。流星や火球は地球に落ちてきたものですが、彗星は宇宙空間にあります。観測されている多くの彗星は、地球のように太陽の周りを公転しています。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏、空母「シャルル・ドゴール」を地中海に派遣 大統

ビジネス

ECBは当面金利据え置くべき、戦争の影響不透明=ラ

ワールド

サウジアラムコ、原油輸出をホルムズ海峡から紅海側に

ビジネス

米国株式市場=下落、ダウ403ドル安 中東紛争でイ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び率を記録した「勝因」と「今後の課題」
  • 4
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 5
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 6
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「日本食ブーム」は止まらない...抹茶、日本酒に「あ…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story