最新記事

ネット

ミャンマー軍政、フェイスブックを制限 自前のSNS設立などで情報戦対策へ

2022年8月23日(火)17時48分
大塚智彦

ヤンゴンにある携帯電話ショップ ANN WANG - REUTERS

<民主派の情報があふれるネットを遮断させるためにはSIMカードの課税強化まで>

軍事政権による民主派への強権弾圧が続くミャンマーで、軍政が国内のインターネットの接続制限に乗り出したことが明らかになった。特にターゲットとしているのがSNSのFacebookで、「しばしば民主派に利用されている」として今後制限を強化するとともにFacebookに代わる自前のSNSを創設する考えを示すなど締め付けを強化する方針だ。

これはゾー・ミン・トゥン国軍報道官が8月17日に明らかにしたもので、反軍政の民主派は「表現の自由」に反する行為だとして反発している。独立系メディア「イラワジ」が伝えた。

ミャンマーでは2021年2月1日のクーデター発生以降、軍政によるメディアやSNSの制限や遮断で民主派の活動、情報発信を警戒する弾圧が続いている。

軍政による人権侵害や市民への拷問、虐殺などの情報、ニュースは独立系メディアによって国内外に伝えられているが、こうしたメディアで働くミャンマー人記者らはタイなどの隣国に逃れて報道を続けるか、国内の国境周辺で軍と戦う少数民族武装勢力の支配地区などに潜伏して活動を続けており、インターネットは「命綱」となっている。

SNSは反軍政の牙城と批判

ゾー・ミン・トゥン国軍報道官はSNS、特にFacebookはクーデター以降、軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官のアカウントを閉鎖し、国軍の公式ページや軍幹部の個人アカウントも次々と閉鎖するだけでなく、軍が所有する企業の広告掲載も拒否している、と批判。

そして「反軍政の勢力が暴力を扇動する重要なチャンネルとなっている」と反軍政の牙城となっていることが明確でこのまま放置しておくのは問題だと指摘している。

「Facebookの掲載基準は一体どこにあるのか、なぜ個人のアカウントや広告掲載を消去するのか」とゾー・ミン・トゥン国軍報道官は疑問を口にして怒りを露わにした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

2日に3兆円超規模の円買い介入の可能性、7日当預予

ワールド

OECD、英成長率予想引き下げ 来年はG7中最下位

ビジネス

海運マースク、第1四半期利益が予想上回る 通期予想

ビジネス

アングル:中国EC大手シーイン、有名ブランド誘致で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中