「命が狙われてもやめない」──息子の「遺志」を継ぎ、人権活動家になった
Empowerment in Syria
しなやかで強い彼女たち
15年3月、夜中に目を覚ますと外で私の車が燃えていた。消火のために水をくもうと屋内に戻ったとき、車に仕掛けられていた爆弾が爆発した。幸い誰にもけがはなかった。
私はしばらく精神的に不安定で、恐怖に震えていた。しかし同時に、私の声を封じようとする敵がいるということは、私が正しい道を歩んでいるということなのかもしれないと思った。
そして、より多くの地域で、より多くの女性と共に活動を展開しなければならないと決意した。
16年に、ジャーナリストだった長男のハレドが殺害された。私はほかの3人の子供を守るためにできる限りのことをしたいと思い、その年のうちに船でヨーロッパに送り出した。彼らが向こうでより良い人生を送れることを願って。
19年にシリア政権とロシア軍がカフランベルを攻撃して住民を追い出し、マザヤのオフィスも爆撃で破壊された。200人以上いたメンバーは違った地域に避難せざるを得ず、私たちは7人でイドリブ北部にセンターを再建した。
北西部バリシャの避難民キャンプにも支部をつくった。悲惨な状況でも必死に生きようとしている女性たちのために、やらなければならないことがたくさんあった。
マザヤで知り合った、しなやかな強さを持つ女性たちといると、私自身の心の傷を癒やすための力が湧いてくる。
破壊も殺戮も憎悪もない、安全で平等なシリアを目指す長い戦いはこれからも続く。彼女たちがいるから、私はこの困難な旅を続けていける。
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