最新記事

ドラッグ

マリフアナ合法化でハマるシニア世代

Baby Boomers Getting High

2018年10月4日(木)18時15分
カシュミラ・ガンダー

ベビーブーム世代を筆頭に中高年のマリフアナ使用が増えている Ljupco/iStock.

<マリフアナでハイになるのは若者だけじゃない――合法化の波に乗って中高年の使用が急増中>

アメリカでは、マリフアナ(乾燥大麻)の使用を医療用にも嗜好品としても合法化する州が増えつつある。それに伴い、中高年のマリフアナ使用が劇的に増えているという。

ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センターの研究者らは9月6日付専門誌「薬物・アルコール依存」(オンライン版)に、07〜16年で中高年によるマリフアナ使用が2倍に増えたとの研究論文を発表した。

研究者らは15~16年の「薬物使用と健康に関する全米調査」を利用し、50歳以上の成人1万7608人の回答を精査した。その結果、50~64歳のマリフアナ使用率は06~07年に比べて約2倍の9%に上昇、65歳以上では7倍以上の2.9%に達していた。

この手の調査では薬物使用の頻度や量を実際より少なく申告するケースが多いため、実際の使用率はさらに高い可能性があると、ジョセフ・パラマー准教授は言う。

研究チームは調査参加者のマリフアナ使用の有無と初めて使用した時期、過去1年間に使用したかどうかに加え、慢性疾患や他の薬物使用の有無も調べた。人生で一度でもマリフアナを使った経験がある人は50~64歳では約54.5%、65歳以上でも22.4%に達した。

医療用の使用も増えている。15〜16年に医師の処方でマリフアナを使用した人は50~64歳の15%、65歳以上の22.9%だった。使い始めた時期については、マリフアナ使用歴のある中高年の大半が10代で手を出しており、年を取ってから初めて使用した人はごくわずかだった。

ベビーブーマーは要注意

マリフアナの悪影響に関する研究は若者優先で中高年は見過ごされがちなだけに、この結果は重要だ。何より驚いたことに、マリフアナ使用歴のある中高年はアルコールやニコチンやコカイン、処方薬の乱用など他の薬物にも手を出す率が高いと、論文の筆頭著者のベンジャミン・ハン助教は言う。

ドラッグでハイになるのは若者が最も多いことに変わりはないが、ベビーブーム世代のマリフアナ使用率はその上の世代に比べて突出していると、論文は指摘している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

住友商、マダガスカルのニッケル事業で減損約890億

ビジネス

住友商、発行済み株式の1.6%・500億円上限に自

ビジネス

英スタンチャート、第1四半期は5.5%増益 金利上

ビジネス

クレディ・スイス、韓国での空売りで3600万ドル制
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中