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自動運転車

早くも2017年が「完全自動運転」元年に?

2016年11月1日(火)10時50分
ヘンリー・グレイバー

 これはテスラの常套手段だ。現行の自動運転機能「オートパイロット」を発表したときもそうだった。必要なハードウエアを前もって車に搭載し、実際の自動運転機能はソフトウエアの更新で提供する方法だ。テスラがソフトウエア更新のボタンを押せば、あっという間に何十万台もの車が自動運転を始めるだろう。まるでハリウッド映画のロボットの反乱のように。

 重さ2トン以上の鉄の箱がドライバーなしに通りを疾走する状況は、大きなパラダイムシフトだ。テスラにとっても規制当局にとっても、自動運転の定義を改めねばならない時期は思ったよりも早くやってくるだろう。

【参考記事】テスラが描くエネルギー新世界

 だが、実現時期よりも重要なのは、テスラが自動運転の最初のターゲットを個人客に設定していること。つまり、そのうちに個人が所有する何十万台もの車で、完全な自動運転が可能となる。それは多くの専門家が期待しているような、渋滞や駐車場不足を解消してくれるライドシェア(乗り合い)などの「共有型」ビジネスモデルではない。

 人間が運転しなくて済めば今より気軽に車を使えるようになり、交通量や移動距離は飛躍的に増えていくだろう。その状況は決して絵空事ではない。テスラのイメージ動画で描かれている世界そのものだ。

© 2016, Slate

[2016年11月 1日号掲載]

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