最新記事

ライフスタイル

伊サルデーニャ島に100歳人が多い理由 島の羊飼いが70年続けている習慣、食生活とは?

2022年12月14日(水)17時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
羊飼いの老人

(写真はイメージです) branex-iStock

<サルデーニャ島に暮らす羊飼いのトニーノは「ここで過ごす毎日に、とっても満足している」と語る。世界の長寿地域「ブルーゾーン」に見る健康と長寿のヒント>

医学の進歩発展、人々の健康への意識の高まりなどにより、今後100歳人は珍しくない世の中になると言われている。とはいえ、細胞の寿命は50年とも言われ、この「老化」とどう向き合っていくのかが、健康寿命を延ばすカギとも言えそうだ。

イタリアの疫学者で医師のジャンニ・ペスがベルギーの人口統計学者ミシェル・プーランと共に長寿研究を行い、長寿の村々を強調する青い円を地図上に同心円状に描き、この円の内側を「ブルーゾーン」と呼んだ。

その後『ナショナルジオグラフィック』誌のライターであり冒険家のダン・ビュイトナーは、統計的に世界で最も長寿の地域にこの地理的な用語を拡大し、イタリア・サルデーニャ島、日本・沖縄、アメリカ・ロマリンダ、中米コスタリカ・ニコジャ半島、ギリシャ・イカリア島の5地域をブルーゾーンと発表。

100歳人(センテナリアン)の多い地域にはどんな共通点があるのか。

日米で話題となった『ブルーゾーン』の新版『The Blue Zones 2nd Edition(ブルーゾーン セカンドエディション)──世界の100歳人(センテナリアン)に学ぶ健康と長寿9つのルール』(祥伝社)から、サルデーニャ島の事例について本書から一部を抜粋する。

◇ ◇ ◇


私たちが会った百歳人は、おおむねきちんと会話も受け答えもできる。だが、たいていは家にこもりっきりで、娘や孫娘の世話になっている。本人から聞いた話は記憶があいまいなので、内容はそれほど信頼できない。

本当にサルデーニャのライフスタイルを知りたければ、もう少し若くて実際に働いている世代の、伝統的な暮らしをしている者に密着しなければ分からない。インタビューで語られた内容より、実際に自分の目で見たほうが、このブルーゾーンの特異な長寿の秘密がはっきりするに違いない。サルデーニャ島バルバギア地方の伝統的な暮らしをまる一日、観察すれば、日常の細かいニュアンスも掴めるだろう。

カメラマンのデイヴィッド・マクレインは、すでにそのような取材対象を見つけ出していた。私がブルーゾーンの東地区でインタビューを続けている間に、デイヴィッドは西地区で雑誌用の写真取材を続けていた(「ナショナル・ジオグラフィック」の取材では、記者とカメラマンが一緒に動くことはめったにない)。

ある日の午後、デイヴィッドが電話をかけてきて、彼が出会った七五歳の羊飼いの話をしてくれた。三〇〇〇年もの歴史があるシラヌスの村で、彼はいまだに羊の世話をし、自分で飲むワインを自ら作り、伝統的なサルデーニャふうの家に住んでいるそうだ。名前はトニーノ・トーラだが、ぼくは「ジャイアント」と呼んでいるよ、と言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ビットコイン5万8000ドル割れ、FOMC控え 4

ビジネス

三井物産、今期純利益15.4%減 自社株買いと株式

ワールド

ロシア国防相、ウクライナ作戦向け武器供給拡大を指示

ワールド

メキシコ、第1四半期GDPは前期比0.2%増 前年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 8

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 9

    衆院3補選の結果が示す日本のデモクラシーの危機

  • 10

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中