コラム

iPhoneの次を狙え!Appleが高機能スマートグラスの特許を申請

2019年07月29日(月)18時36分

高性能なデバイスであることは確かだ ViewApart-iStock

エクサウィザーズ AI新聞から転載

<iPhoneの売れ行きが減速するAppleでは、次なるメガヒット商品の準備が刻々と進んでいる>

Appleが米特許庁に申請したスマートグラスの特許案件がこのほど公開された。申請書によると、仮想の物体を表示するためのディスプレイは当然ながら、ユーザーの感情を認識するための眉毛や顎の動作認識センサーなども搭載されるという。米誌Varietyが報じた。

Appleのスマートグラスは、いわゆるMR(ミックスリアリティ)と呼ばれる種類の映像を映し出すデバイス。仮想空間に仮想の物体を映し出すVR(バーチャルリアリティ)メガネや、現実空間に文字や写真、イラストなどを映し出すAR(拡張現実)メガネの進化版で、メガネを通じて見える目の前の現実の風景に、VRのようなリッチな仮想映像を映し出すことのできるメガネだ。

高機能も価格は未知数

今年4月に米誌CNETが報じたところによると、Appleのスマートグラスは8Kのディスプレイを搭載、VR、ARのどちらとも表示が可能で、2020年発売を予定しているという。

このほか申請書によると、環境をセンシングするためのセンサー(ビデオ、深度、光学など)と、ユーザーをセンシングするためのセンサー(表情、アイトラッキング、口や顎の動き、ハンドジェスチャー)などが搭載されるという。

周りの状況と、ユーザーの反応の両方の情報を基に、ディスプレイに表示させるものを決める仕組みのようだ。

例えば昼間と夜では、表示させる仮想の物体の明るさが自動的に調節されるもよう。またユーザーの表情をセンシングすることで、仮想空間の中のユーザーのアバターの表情が自動的に変化することになるという。仮想空間内での、アバター同士のコミュニケーションも視野に入れたデバイスになりそうだ。

先行するGoogleグラスなどのスマートグラスに比べると、かなりの高性能デバイスになることが予想される。売れ行きが減速したiPhoneに取って代わる、次期ヒット商品を目指していることがうかがえる。

もちろんここまで使い勝手をよくしないと売れないのだろうが、いったいいくらぐらいの価格帯になるのだろう。

ただAppleは特許を申請しながらも商品化していないデバイスが過去に多数存在しており、今回特許を申請したからといってスマートグラスが近い将来に発売になるのかどうかは分からない。

20190806issue_cover200.jpg
※8月6日号(7月30日発売)は、「ハードブレグジット:衝撃に備えよ」特集。ボリス・ジョンソンとは何者か。奇行と暴言と変な髪型で有名なこの英新首相は、どれだけ危険なのか。合意なきEU離脱の不確実性とリスク。日本企業には好機になるかもしれない。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB利下げ「良い第一歩」、幅広い合意= ハセット

ビジネス

米新規失業保険申請、3.3万件減の23.1万件 予

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 8
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 9
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 10
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story