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【書評】Life after Google──なぜGoogleの時代が終わるのか
有名大学を卒業し大手IT企業に勤めるというキャリアパスへの疑問
「(4)AIを進化させるために優れた大学教育が必要だ」という考え方に関して、Gilder氏は、投資家Peter Thiel氏の「1517プロジェクト」に言及している。Thiel氏は、ここ最近の米国の有名大学の授業料高騰と、有名大学卒業生を過大評価するシリコンバレーの風潮に幻滅しており、大学に行かないことに決めた20才以下の天才に対し、このプロジェクトを通じ巨額の支援金を与えている。
1517年は宗教革命の際にルターが、ローマ教会に抗議してヴィッテンベルクの城内に95ヶ条の論題を打ちつけた年だ。かなりの授業料を支払えばもらえる卒業証書は、お金を払えば罪を許してもらえるという免罪符と同じ。そんな紙切れをありがたがる風潮はおかしい、というのがThiel氏の主張だ。
米国のクリエイティビティを再燃させるためには、いい大学を出て大手のIT企業に入社するというキャリアパスだけではだめだ、というわけだ。。
実際にイーサリアムを開発したButerin氏も、このプロジェクトの卒業生。同氏以外にも、自動走行車用の車載センサーを開発した若者など、ものすごい優秀な若者が次々このプロジェクトから卒業している。
「Googleの時代の仕組み」の中でどれだけがんばっても、最終的にはGoogleなどの大手に敗退するか、買収されるだけ。それよりも、ブロックチェーンが可能にする新しい時代の仕組みの中で戦うほうが、よほどおもしろいことができる。ブロックチェーンの周辺に若き天才が集まり始めたことは、時代変化の証拠の1つなのかも知れない。
読み終えて
英語で読むと難解な表現がたくさん出てきて、結構読むのが大変な本だった。日本語版が出て、この問題について広く議論されるようになってもらいたいと思う。
特にシリコンバレーのIT大手に権限が集中する時代から、より分権の時代になれば、日本企業もおもしろい動きができるようになるかもしれない。
そう考えると、ワクワクする話だ。ブロックチェーンは、現在進行形でものすごい勢いで技術革新が続いている。何ができて、何ができないのか。どこにビジネスチャンスがあるのか。もうあと1年もすれば、その可能性の全貌が見えてくるのだろうと思う。しばらく追っていきたい。
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