コラム

AIが招く雇用崩壊にはこう対処すべき。井上智洋著「人工知能と経済の未来」【書評】

2016年07月21日(木)11時15分

 僕が探し求めていた問いに対する明確な解答だった。

 井上氏はその後、各方面でひっぱりダコになり、多くのAI研究者とも親交を深めていった。そうした親交を通じて、井上氏は、AIとその可能性に関連する情報をどんどん蓄積していった。AIが引き起こす雇用崩壊について、経済学者としては井上氏が最も多くの情報を持っているのではないかと思う。

 その井上氏がその情報を惜しみなく一冊の本にまとめた。『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』 (文春新書 1091)というタイトルの本だ。帯には「人工知能に仕事を奪われ、職に就けるのはたった一割」というショッキングな一文が載っている。

「10年後に多くの仕事がなくなる」という論調は、最近よく見かけるようになった。しかし、そうした急速な変化にどう対応すべきかという議論は、まだほとんどされていない。

 時間はあまり残されていない。この急速な変化に、そろそろ本気で対応策を考えたい。そう考える人には最適の一冊になっている。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。

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