
マスクを着用しない人の姿も珍しくなくなった(写真は3月20日、東京) Androniki Christodoulou-REUTERS
<5月8日から感染法上の分類が季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられる新型コロナウイルス。流行が始まって3年が経過した今、3つのトピックス──最新の感染状況、ウイルスの起源、ワクチン接種と副反応──でこれまでとこれからについて解説する>
森会長の日経新聞「私の履歴書」を以前読んだことがあるが、相手の懐に飛び込んで政治的に対立していた人間関係を調整したというエピソードが延々と続く。複雑化した近代オリンピック開催も、IOC、アスリート、招致都市、スポンサー企業、放送局等の複雑な利害調整が重要であり、IOCも体質的には、欧州貴族の密室文化を色濃く残す。森会長の昭和の政治家としての密室での利害調整能力が、この期に及んで活きているというところだろうか。
また、スポーツ関係者、特に競技人口の少ないマイナースポーツ関係者は、誰も支援する政治家がいなかった時にも様々な便宜を図ってもらったと森会長に恩義を感じている人も多いと聞く。
「皆さんが、邪魔だと言われれば、老害、粗大ごみになったのかもしれないから、そうしたら掃いてもらえればいいんじゃないですか」
森のこの逆ギレともとれる言葉の裏には、あと半年、IOCと東京都/日本政府を相手取って開催に向けた交渉ができる人間、各競技団体に押さえが効く人間が自分以外に組織委員会にいるのかという強い自負が伺える。
本来であれば、オリンピック憲章にも反する女性蔑視発言はIOCとしても大いに問題視すべきだが、異例とも言える速さで「問題は終わった」と幕引きを図っている。開幕に向けてこれ以上の運営上の混乱を避けたいIOCの危機感と、カウンターパートナーとしての森会長への個人的な信頼がバッハ会長にあるのだろう。
2013年の招致のタイミングに戻り、東京オリンピック開催を望むかと聞かれたとしたら、私は必要ないと答えると思う。予算がかかり過ぎであり、だからこそ東京都も「オリンピック予算見直し」調査を実施した。
但しこの段階に及んで、組織委員会会長の前時代的女性差別発言とワクチンの確保と摂取展開の組織能力の欠如から、国民の支持を得られず中止を余儀なくされたとなると当事者の国民としても悲しすぎる。
1兆円以上の税金を投入しつつも五輪大会には使用されず一部のスポーツ関係者しか使わないハコモノ建築群が作られ、8年間オリンピックが開催されないことに対する世界中のアスリートの怨嗟の声だけが日本人に負のレガシーとして残される。
コロナ禍でインバウンド観光などの経済効果は制限されるだろうが、それでも期待された経済効果がゼロになるより、コロナ禍で弱った日本経済にとって少しでもプラスになったほうが良い。
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マスクを着用しない人の姿も珍しくなくなった(写真は3月20日、東京) Androniki Christodoulou-REUTERS
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日本外国特派員協会の記者会見で疑惑を否定する黒岩町長(2020年)YOSHIO TSUNODA/AFLO
<忘れられたニュースを問う石戸諭氏のコラム。女性町議が訴えた被害は虚偽の疑いが強いが、彼女を信じて支援した人々の責任は問われずじまい。反省の言語化が社会にとって有益なはずだが...>
2023年3月、マスク着用については個人の判断に委ねる方針を決定(東京都内)Kim Kyung Hoon-REUTERS
<5月8日、感染症法における位置づけが「5類」になる新型コロナウイルス。私たちはこの日を境にマスクを外すのか。それとも「マスク信仰」を棄教することができないのか>
A China Lab Leak?
新型コロナは研究所由来だとの主張を黙殺したメディアも多かった(武漢ウィルス研究所)Thomas Peter-REUTERS
<学術界は「情報の門番」として、研究所由来のウイルスであるという情報を阻止してきた。しかし「事実」に目をつぶれば、さらに恐ろしいウイルスが登場する>
米マイアミ大学の研究者らは6日、新型コロナウイルスが母親の胎盤を通じて胎児にうつる母子感染によって脳障害を起こしたと考えられる最初の2症例を確認したと明らかにした。写真は2020年1月撮影(2023年 MAM/CDC/Handout via REUTERS)
米マイアミ大学の研究者らは6日、新型コロナウイルスが母親の胎盤を通じて胎児にうつる母子感染によって脳障害を起こしたと考えられる最初の2症例を確認したと明らかにした。