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最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性

山本彌生|アメリカ

ポートランドの多国籍民と多様性、互いを尊重するヒント

iStock-1318708437.jpg Photo | iStock

|  新しい価値観の世の中で

「日本の女性へのアドバイス。それは、自分を信じ、自分を擁護し、素晴らしいメンターを(職場の内部や外部で)見つけること。その業界に、見本となる同性の先輩がいなければ、他業種交流などで幅を広げてみてください。女同士が足を引っ張り合う時代ではなく、女性同士は成熟した人として、切磋琢磨を意識して行うべき時なのです。

日本の男性へのアドバイス。それは、女性をどう見ているのか。自分が受けてきた文化的教育、思考はどうなのか。現代の感覚とズレていないか。その部分をまずは考えてほしいのです。そして、気づいた部分があれば、少しずつでも変える努力をしてください。思考の修正は、自然には決して変わりません。男性の自分がされたり言われて嫌なこと、それを同じ人間である女性にしないでください。同じ人間として対等に尊重し合うこと。ある意味、当たり前のことなんですけどね。」

同時に、それぞれの組織のサステナブルや多様性&包括性の具体的なアドバイスをこう続けます。

「異なる性別、背景、文化、宗教、民族を持つ人々がいる事を理解をする。そして、一人ひとりが違う、けれども同じ人間であることを認めてほしいのです。そのための教育やトレーニングの機会を設定して、実行していくことがとても重要な時代です。

これからの時代に合った組織であるかどうかを確認する方法。それは、リーダーシップの顔ぶれを見て多様性に富んでいるかどうか。加えて、従業員の顔ぶれ、人材の採用方法、取引先社の傾向、地域社会への貢献度などからも、その組織の多様性や包摂性を読み取ることができるはずです。」

さらに、より良い未来のために、そして自分自身のために情熱を注いでいることがあると言います。

「今一番力を入れているのが、将来を担う高校生への指導、メンター・プログラムです。オレゴン州の非営利団体メンター・プログラムの理事という地位を用いて、高校生で建築、建設、エンジニアリングに関心のある学生を指導しています。女性や有色人種にとって、私のようなアジア系アメリカ人女性が建設会社で働いているのを見て、自分にも可能性があるんだ。そう、感じてほしいのです。自信を持ってほしいのです。」

このメンタープログラムを通して、学生に自信を与える手助けをする。このことで、自分自身もよりたくましく折れないように頑張っていける。そう、目を大きく見開きながら輝くホリーさん。

職場環境での自分自身のトレーニング。このことは、現在のプライベートにも良い影響を与えています。

Family Photo 1 - Holly Snow.jpgPhoto | Holly Snow

| 互いの世界を持ち、尊重し合う

建築業界で知り合った男性と結婚して4年目。interracial couple (インターレイシャル カップル=異人種間カップル)として授かった二人の子ども。文化の協働という日々の暮らしを営んでいます。

「異人種間養子縁組として育った私が、異人種間カップルとして結婚をしました。やはりお互いの経験や世界観が違う分、乗り越えるハードルの数は多いと感じます。とはいえ、人種的な違いではなく、それぞれが生まれ育った環境の違いによって、日々の暮らしや子育てに対するアプローチに違いを感じる。これは、同人種間カップルでも同じだと思います。

大切なのは、互いの文化背景を理解して尊重し合うこと。そして互いの意見に耳を傾け、相手がどのように感じているかをエンパシ―をもって接すること。

私は異人種間養子として文化的にアメリカの家庭で育ったので、私たち夫婦には共通点があります。同時に、私の失われた韓国文化を意識的に少しずつ生活に取り入れるんですよ。子供と一緒に自分のルーツを学んでいくことが、今はとても楽しいんです。」

知らなかった文化的習性、思考、協働生活に常にオープンであることに心を寄せる。違う文化を統合して、気持ち良く自分らしさを表現する。そこから新しい文化や価値観を作りだすことは、とても美しいこと。凝り固まった古く歪んだ文化的なものから足を出し、他の文化や新しい価値観を学ぶことを恐れないでほしい。そう締めくくってくれました。

自分とは違うタイプの人を受け入れる環境へと、少しずつ変化を遂げている日本。

今日あなたは、どのように自分の心をすこやかに保ちながら、新しい文化、考え、人を受け入れていきたいですか。

記:各回にご登場いただいた方や記載団体に関するお問い合わせは、直接山本迄ご連絡頂ければ幸いです。本記事掲載にあたってのゲストとの合意上、直接のご連絡はお控えください。
 

Profile

著者プロフィール
山本彌生

企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。

Facebook:Yayoi O. Yamamoto

Instagram:PDX_Coordinator

協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)

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