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オーストラリアの診察室から

高尾康端|オーストラリア

オーストラリアの電子タバコ問題について

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オーストラリアでは、ベイピング、すなわち電子タバコの使用が社会的な議論を呼んでいます。特に若者の間での使用率の増加が懸念されており、政府はこの問題に対処するための規制を強化しています。

オーストラリアではたばこのバッケージやテレビでたばこの健康への悪影響を強く訴えるメッセージを流すなどの公衆衛生政策を実施してきました。このため喫煙者の数は大幅に減少しました。しかし近年ベイピングが登場し、その使用者が急速に増加するというあらたな問題が起こっています。

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現在オーストラリアでは約170万人がベイピングをしています。昨年だけで40万増加しました。最近の統計によれば25歳から34歳の6人に1人、18歳から24歳の5人に1人、14歳から17歳の7人に1人がベイピングをしています。

ベイピング製品の規制には、使い捨てのベイピング製品の禁止や、医師によるベイピング製品の処方権限の拡大などが含まれます。これにより、タバコをやめたい人々に対するサポートが強化される一方で、娯楽目的で新たに使用するのを抑制する狙いがあります。

今年の1月からは使い捨てベイプの輸入が強化され、3月からはすべての電子タバコの輸入が特別なラインセンスがある場合を除き禁止となりました。オーストラリア政府は海外から密輸防止強化のため2500ドルの予算を組む予定です。

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オーストラリア政府のこのような動きは、公衆衛生の観点からは歓迎されるものですが、ベイピング業界や一部の利用者からは反発もあります。ベイピングは、従来のたばこよりも健康リスクが低いとされることから、禁煙補助手段としての有効性を訴える声もあります。

ベイピングは一般的にはたばこより健康被害が少ないとされていますが、ニコチン等、体に悪影響を及ぼす化学物質が含まれています。

喫煙を止められない人をベイピングに誘導しつつ、非喫煙者が新たに米ピングを始めることを防ごうとするオーストラリア政府の取り組みは、他国の政策にも影響を与える可能性があります。ベイピングに関する規制は国によって大きく異なり、オーストラリアのように厳しい規制を行う国もあれば、より緩やかなアプローチを取る国もあります。今後、オーストラリアの政策が国際的なベイピング規制の動向にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。





参考
https://www1.racgp.org.au/newsgp/professional/recreational-vaping-ban-one-step-closer
https://lungfoundation.com.au/lung-health/protecting-your-lungs/e-cigarettes-and-vaping/

 

Profile

著者プロフィール
高尾康端

日本、スイス、シンガポール、アメリカで育ち、2004年からオーストラリアに移住。シドニー大学医学部を卒業。現在は東ブリスベンエリアHawthorne Clinicにて家庭医 (GP)として勤務。家庭医の観点からみる病気についての情報、また母国である日本と移住地オーストラリアの医療システムの違いや、オーストラリアで病気になった時に役立つ情報を発信している。

Twitter:@dryasutakao
Facebook:Dr Yasu Takao
ブログ:https://www.dryasutakao.com.au/blog

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