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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

イタリアがコロナ優等生になった本当のワケ

「イタリアという国ではいろいろなことが上手く機能せず、誰かが何かしてくれるのを待っていてもダメだから、自分でなんとかする習慣ができている」。

それは例えばこんなことだ。

イタリアでは、電車に乗って居眠りをする人はまずいない。まして泥酔して乗り越してしまうとか、隣の人の肩に寄りかかってしまうほど爆睡するなんてありえない。寝ている間に何が起こるかわからないからだ。どんな凄腕の泥棒が乗っていようが、電車が壊れて他の列車に乗り換えてくださいというアナウンスが入ろうが、すぐに対応できるようにみんな目を覚まして座っている(最近の完全予約制で料金が高い、つまりスリなどは乗ってこられない高速列車では、安心して寝ている人も見かけるようになってはきた)。

こんなこともあった。シチリアでバカンスを過ごしていた時のこと。小型の船に乗って遊覧半日コースに申し込んだ。当日、出発時刻の15分ほど前に行ってみると、すでに乗客でいっぱい、座る席がない。小狡い(?)ツアー会社が、席数よりも多くのチケットを販売していたのだ。日本人の私は、ありえない!と怒ったのだが、そういうことに慣れたイタリア人たちは、早くから乗り込み席を確保し涼しい顔をしている。そういえばイタリアでは、バスや電車で降りるときも、ものすごく早く立ち上がってドアの前で構えている人が多い。「次降りますボタン」を押していてもドライバーがうっかり忘れてしまうとか、ドアが壊れて開かないなどの緊急事態(?)に備えているのだ。

例をあげたらキリがないが、そしてはっきりと数字には出ないけれど、コレがイタリアを今、コロナ優等生にさせている要因の一つなんじゃないかと思う。政府なんか信用できないから、病院だって安心できないから、感染しないように自分で努力する、気をつける、多くのイタリア人がそう思っているのだ。そうでなければ、他の国との差が説明がつかない。フランス人だってイギリス人だって、二度とロックダウンなんかしたくないと思うのは、同じに決まっているんだから。

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あるカフェで。マスクを下ろしてコーヒーを飲む客、床に貼られたソーシャルディスタンス用のラインが痛ましい。写真:著者撮影

とはいえ、毎日の感染者数が1500人前後というのは、決して安心できる数字ではない。学校が始まって2週間が経過し、そしてここ数日、急に冷え込んできた。油断は禁物だ。

 

 

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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