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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

イタリアがコロナ優等生になった本当のワケ

そんなイタリアが厳しいロックダウンをして、感染を抑え込んだ。そしてロックダウン解除後も、試行錯誤をしながら(ディスコの営業再開してみたら感染者数が増えたのでまた閉めるなど)バカンスシーズンもやり過ごした。マスクやソーシャルディスタンスを義務付ける規制は今も続いていて、マスクなしで外出したら400ユーロという地域もある。罰金はなくても、マスクをしていなかったらお店や公共交通機関を利用することはできない、そんな毎日だ。

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感染者数が増えてきた今は、室内はもちろん、屋外でもマスク着用義務を課すところが増えている。写真:Denis Sokol/ i stock

私の日本の友人たちや、SNSを見ていると「あのイタリア人が、よくいうこと聞くよね!」という声が多い。でも私は思う。あれだけの恐怖に見舞われたのだから、感染を防ぐための規則に従うのは当たり前だと(もちろん中には従わない人、マスクをしない人も結構いるけど)。権利の侵害とか、自由のはく奪だなんて訴えてドイツやフランスではデモが起きているが(イタリアでも小規模なのは起きている)、そういうことじゃないと思う。大規模災害が起きたら、政府主導で避難命令が出て、みんな従う、それと同じじゃないのか。台風で死んでもいいと避難しないのはその人の勝手だけど、コロナになってもいいとマスクなしで歩き回るのは、他人に感染させ、重症化させて死なせてしまうかもしれない。

そして病気が怖かっただけでなく、あんなに辛いロックダウンの期間を過ごし、経済に大打撃を受けたのだから、もう二度と、再びあんなことにならないように神経を使う。至極普通の感性だと思うのだけど、どうだろう。

例の日経の記事には、専門家にインタビューをしたとして、イタリアが優等生になっている理由がいくつか記されている。それは「スペインやフランスよりも早く感染の嵐を経験したので、イタリアの医療機関や政府はロックダウン解除後の対策を練る時間がたっぷりあったから」とか「効果的な検査とモニタリング」などなどだ。

もちろんそれもあるだろう。でも24年間イタリアで暮らし、多少はイタリア人の内面も見てきた私が思うのはこれだ。

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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