World Voice

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魅惑の摩天楼、香港フォト通信

マリエ|香港

香港がイギリスに引っ越してきた? 香港人脱出を実際にイギリスで見聞きして

筆者撮影

今回のWORLD VOICEはイギリスから書いている。7月中旬にイギリスに到着し1ヶ月あまりがたった。1ヶ月もいると色々と見えてくる。

2020年6月に施行された香港の国安法に旧宗主国イギリスが激怒し、香港人に渡英の道を開いたことで香港からイギリスへの大量移住が始まった。これは香港でも日々目にしていたニュースだ。

そして実際、イギリスに来て「あららら、本当に続々と来ているよ、文字じゃ実感が湧かなかったけれど本当だ、本当に起きてるんだ」と実感。

私が今いるのはロンドンから長距離バスで3時間半のミッドランド地域にある小さな街である。娘はこの街の大学に通っている。

到着してから数日後、香港のインター校6年生の時に娘が机を並べて座っていたA君に会った。A君は香港と台湾のハーフである。

「いやあ、中央政府にとっては厄介者地域のハーフだからね、最強のハーフでしょう?」と冗談を言っていた。

2019年に香港で抗議活動が始まった際、彼の両親はすぐさまA君をイギリスへと送った。北京をここまで怒らせてただで済むわけがないと先を読んだからだ。

そして2020年6月の国安法が施行された直後、A君の両親はこの街に移住してきた。A君は医学部に通っている。

TESCO EXPRESSというスーパーで買い物をしていたらどこかで見た人がいる。

あの女性、香港のホンハムのイオンで何回も見ていると娘に言ったら、

「うん、ホンハム駅そばのマンションに住んでたんだよ、娘と私、おんなじ学部だよ、お母さんとお父さんはホンハムのマンションを売却して去年ロンドンに移住したんだよ」

またもや、あらららら。

娘は去年から大学の寮を出て一般のフラット(マンションのこと)にイギリス人の友人と住んでいる。そこに私は転がり込んでいるわけである。

そのイギリス人ルームメートの母親と叔母が先日泊まりに来た。1人は麻酔医、もう1人は看護師、2人ともロンドンで働いている。

聞くところによれば香港から移住してきた医師、看護師が大量にロンドンの病院で働いているという。

イギリス連邦に加盟している国々には医師免許互換制度がある、よってイギリス⇄香港は医療従事者の相互診療が可能なため、香港の医師看護師はイギリスに移住してきても困ることはない。イギリスの人手不足も追い風となっているようだ。

そういえば去年の夏、大量の医師と看護師の香港脱出で医療現場が困っていると言うニュースを読んだ。

その記事には行き先は書いてなかったけれど、香港救済に乗り出したイギリスに大量に流れ込んだと見て間違いはないと思う。

https://www.thestandard.com.hk/breaking-news/section/4/178812/Hospital-Authority-chief-worries-about-doctors-and-nurses-leaving-Hong-Kong

hkuk02.jpg

(筆者撮影)

■子供を軸に考えるからこそ香港から出て行かざるを行かないんだ

イギリス移住の大きな動機となるのは子供の将来の教育である。つまり子供がいる家庭ほど危機感を持っているということである。

現在私が居候しているマンションで5組の香港人家庭に遭遇した。いずれもBNOビザで最近香港から移住してきた方ばかり。

こんなに小さな町の、その中の1つのマンションで5組の香港人家族がいるなんて。

じゃあロンドンは一体どれだけの特別ビザを利用してやってきた香港人がいるのだろうか?

そのうちの1家族が、私が香港在住の日本人だと知り親近感を持ってくれたのか少しずつではあるが話してくれた。

「子供の将来のことを考えたら今の変貌してしまった教育システムの香港にはいられない」と。

香港脱出するのは香港人だけではない

香港のインターナショナルスクール時代、娘は仲良し8人組でいつもつるんでいた。

現在、娘を含めない7人がどうなっているかを書いてみたい。

Aちゃん、イギリスとフィリピンのハーフ:2020年両親はマニラに移住、Aちゃんは現在ロンドンで働いている

O君、イギリス人:2020年両親とともにイギリスに本帰国、O君は現在イギリス国内の大学に通っている

P君、ドイツ人:2020年ドイツに帰国

M君、ドイツとフィリピンのハーフ:2020年一家でドイツに帰国、現在ドイツ国内の大学に在学中

I君、イギリス人:2020年イギリスに帰国

Aちゃん、インド人:2020年オーストラリアに移住 現在メルボルンの大学に通っている

Sちゃん、ネパールとチベットのハーフ:香港残留

国安法が施行された2020年が鍵となっているのがお分かりだと思う。6組が香港を2020年に離れているのである。

6家族とも自営業なので会社から辞令がでて本国に呼び戻されたというパターンではない。

「国安法さえなければ大好きな香港にもっと住んでいたかった」と言う共通パターンなのである。

hkuk03.jpg(筆者撮影)

そういえば昔にも見たんだ、この光景

実は香港が中国に返還される前、私はイギリスに住んでいた。

あの時も香港人がイギリスへと流れ込んだっけ。イギリスへの移民には5000万円(当時のレートで)必要でかなり金持ちの香港人をイギリス政府は選り好みをしているという噂をよく聞いた。

香港に住むようになってからイギリス国籍を当時取得した香港人2人にいくらかかったのか聞いたことがある。約5000万円という回答が帰ってきてあの噂は本当だったんだなと思った。

そして2022年の夏、今私は香港人のイギリスへの移動を再び見ている。

イギリスが香港人に門戸を開き、そこに毎日約1000人が香港脱出している様を中央政府が面白く思うはずがない。

「香港はイギリスの植民地であった事は1度もない」。先々月こんなニューズが流れた。

今後香港の教科書はこう書き替えられるらしい。北京の怒りを反映しているかのようだ。

https://www.bbc.com/japanese/61821112

返還時の時と違い、イギリス政府が香港人の移住のハードルを徹底的に下げたことで香港からのイギリスへの移民ラッシュはさらに加速するのではなかろうか。

前述した医療従事者の他にも教師の大量脱出も起きている。香港の頭脳流出が深刻にならなければいいのだが。

あ、もう一つ思い出した。イギリスに来る前に香港で美容院に行ったんだった。

オーナーが「うちの従業員のあの子、もうすぐイギリスに移住しちゃうのよ。子供のことを考えてだって」

「ほんとうに多いですよねえ」とシャンプー台で頷いたのだった。

 

Profile

著者プロフィール
マリエ

香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら

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